今週は急に寒くなったことも原因となっているのか?複数ぎっくり腰で貝塚市より来院される方がいらっしゃったので、今回急遽ギックリ腰について書いてみたいと思います。
1. ぎっくり腰とは:症状とそのメカニズム

ぎっくり腰は「急性腰痛症」とも呼ばれ、突然腰に激痛が走る状態を言います。そのあまりにも激しい痛みから欧米では「魔女の一撃」と呼ばれることもあります。
ぎっくり腰の主な症状は、突然の強い腰の痛みです。この痛みは、「ピキッと音がするような感じ」や「ビリッと電気が走ったような痛み」と表現されることがあります。腰の痛みが非常に強く、冷や汗をかくほどの激痛を伴うこともあります。多くの場合、症状は数日から10日程度で自然に回復するとされています。
しかし、痛みが2週間以上続く場合 や足のしびれや麻痺などの症状がある場合は、椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・圧迫骨折など他の病気が隠れている可能性があるので、整形外科を受診し、レントゲンやMRIなどの精密検査をすることが重要です。
2. 主な原因:ぎっくり腰を引き起こす要因
ぎっくり腰の明確な原因はまだ完全には解明されていませんが、多くの場合は日常生活での何気ない動作や習慣が腰に負担をかけることで発生すると考えられています。
腰の筋肉や靭帯の損傷、あるいは椎間板のずれなどが主な原因として挙げられます。これらの組織に疲労が蓄積し、許容量を超えた際に、急な痛みとして現れることが多いです。
具体的には、以下のような状況がぎっくり腰を引き起こす原因となり得ます。
①動作によるもの
・重いものを持ち上げる

・不意に体をひねる

・くしゃみや咳をする

・長時間同じ姿勢でいた後に立ち上がる

・朝、ベッドから起き上がる

・腰を曲げて靴や靴下を履く

・何気なく下にある荷物を取ろうとする

②身体の状態や習慣
・姿勢の悪さ(猫背、反り腰など)

・運動不足による筋力低下(腹筋や背筋、体幹)

・疲労の蓄積や睡眠不足

・肥満

・体の冷え

・骨盤や背骨の歪み

・ストレス

・以前にもぎっくり腰を経験している場合

これらの要因が単独、または複数組み合わさることで、ぎっくり腰のリスクが高まります。
3. 即効性のある応急処置法
①患部を冷やす

ぎっくり腰が発症してから24〜72時間以内は、患部で炎症が起きている可能性が高いので、冷やすことが有効です。
・冷却方法: 保冷剤や氷枕をタオルで包み、痛む部分に当てます。直接皮膚に当てると凍傷になる恐れがあるので注意が必要です。
・冷却時間: 1回につき15〜20分程度を目安に、数回繰り返しましょう。患部が温かい場合は、炎症が起きている可能性が高いため、冷やすことで痛みが和らぐことがあります。
②安静にする
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痛みが強い時期は、無理に動かず楽な姿勢で安静にすることが何よりも大切です。
・楽な姿勢: 仰向けに寝る場合は、膝の下に丸めた座布団やクッションなどを置いて膝を立てると、腰への負担が軽減されます。横向きに寝る場合は、痛い方を上にして、抱き枕などを抱えると楽になることがあります。
・深呼吸: 楽な姿勢で深呼吸を繰り返すと、筋肉の緊張が和らぎ、リラックス効果で痛みが軽減されることがあります。
③鎮痛剤の利用

市販の消炎鎮痛剤(痛み止め)を使用することも有効です。
・飲み薬: ロキソプロフェン、アセトアミノフェン、イブプロフェンなどの成分が含まれる飲み薬は、比較的早く効果が期待できます。ただし、薬へのアレルギーや胃腸、腎臓に持病がある場合は、必ず医師に確認しましょう。
・湿布: 冷湿布も痛みを和らげるのに役立ちます。
④コルセットの活用

痛みが強い時期には、コルセットを装着することで腰部が安定し、痛みが軽減されることがあります。ただし、長期間の依存は筋力低下を招く可能性があるため、痛みが落ち着いてきたら徐々に外すようにしましょう。
注意点
ぎっくり腰の症状は、通常1週間から10日程度で自然に回復することが多いですが、痛みが2週間以上続く場合や、足にしびれなどの神経症状が伴う場合は、椎間板ヘルニアなど他の疾患の可能性も考えられるため、必ず医療機関を受診するようにしてください。
4. 長期的な治療と予防策
ぎっくり腰の痛みは、通常数日から10日程度で自然に回復することが多いですが、痛みが長引く場合や繰り返す場合は、より専門的な治療が必要です。
①専門的な治療
・薬物療法: 痛みに応じて、消炎鎮痛剤や筋弛緩剤が処方されます。症状が重い場合は、神経ブロック注射などが用いられることもあります。
・理学療法: 痛みが落ち着いてきたら、理学療法士の指導のもと、適切な運動療法やマッサージを行うことで、筋力の回復と柔軟性の向上を目指します。これは腰部の安定性を高め、再発予防に非常に重要です。
・手術療法: 稀ではありますが、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など、神経圧迫を伴う重度のぎっくり腰には手術が検討されることもあります。近年では、身体への負担が少ない日帰り手術も開発されています。
②長期的な視点
ぎっくり腰は、痛みがなくなったからといって完治したわけではありません。完全回復には、筋力や柔軟性が回復し、正しい姿勢や動作パターンが身についた状態が必要です。痛みが長引いたり、しびれを伴う場合は、放置せずに整形外科を受診し、MRI検査などで原因を特定することが大切です。
ぎっくり腰の予防策
ぎっくり腰の再発防止には、日常生活における対策と予防が不可欠です。
①日常生活での心がけ

正しい姿勢と動作: 重い物を持ち上げる際は、腰を曲げずに膝を曲げて腰を落とし、背骨を伸ばした状態で持ち上げましょう。長時間同じ姿勢を避け、定期的に体を動かすことも重要です。
体の冷却を防ぐ: 寒い季節は特に、身体を温めることが大切です。入浴で全身を温めたり、カイロを活用したりして、血行を促進しましょう。
疲労とストレスの軽減: 睡眠不足やストレスは筋肉の緊張を引き起こし、ぎっくり腰のリスクを高めます。十分な休息をとり、ストレスを解消する習慣を身につけましょう。また、不規則な食生活の見直しも大切です。
②予防のための運動・ストレッチ

筋力強化: 腹筋や背筋、体幹を鍛えることで、腰を支える力が向上し、ぎっくり腰の予防につながります。ウォーキングなどの有酸素運動も効果的です。
柔軟性の向上: 股関節や太もも裏のストレッチは、腰への負担を軽減し、柔軟性を高めます。定期的なストレッチを取り入れましょう。
これらの対策を継続的に行うことで、ぎっくり腰の再発リスクを減らし、健康な腰を保つことができます。
5. 専門家のアドバイス:正しい姿勢と生活習慣の改善
①日常生活での姿勢と動作
正しい体の使い方
物を持ち上げる際:床の物を拾う時や重い物を持ち上げる際は、腰を曲げるのではなく、膝を曲げて腰を落とし、背骨をまっすぐに保ちましょう。荷物を体に近づけて、足の力でゆっくり持ち上げることが大切です。身体をひねる動作は避けてください。
長時間の姿勢:座りっぱなしや立ちっぱなしは、腰に大きな負担をかけます。長時間同じ姿勢を続けるのを避け、可能であれば30分に一度は立ち上がって軽く体を動かすようにしましょう。
座り方と立ち方
座る姿勢:椅子に座る際は、やや浅めに腰掛け、足を床にしっかりとつけ、背筋を伸ばすように意識すると腰への負担が軽減されます。猫背や足を組むといった姿勢は、腰への負担を増大させるため避けましょう。
立つ姿勢:片足重心の癖がある人は、身体のバランスが崩れて腰に負担がかかりやすくなります。立つ時や歩く時も、重心がぶれないように意識し、正しい姿勢を保つことが大切です。
②生活習慣の改善
体を温める
疲労や冷えは筋肉を硬くし、ぎっくり腰のリスクを高めます。お風呂で体を温める習慣は、腰の疲労回復に効果的です。特に39度程度のぬるめのお湯に全身浴で浸かり、首から腰までしっかり温めましょう。湯冷めしないように、温かい寝具で休むことも大切です。
運動と睡眠
適度な運動:腹筋や背筋、股関節周りの筋肉を鍛え、柔軟性を保つことが予防につながります。ウォーキングなどの有酸素運動も効果的です。
十分な睡眠:睡眠不足や疲労の蓄積は、ぎっくり腰の一因となります。質の良い睡眠を確保し、ストレスを解消することも大切です。
ぎっくり腰は、日々の小さな負担が積み重なって発症することが多いため、これらの生活習慣の見直しが、何よりも効果的な予防策となります。


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