オンライン資格確認って・・・

先日、整骨院接骨院鍼灸院等の管轄である厚生労働省から以下のような書類が届きました。


この書面が届いた際に最も気になったのが、
受領委任払いを行う柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の施術所等では、令和6年12月2日以降、オンライン資格確認(資格確認限定型)が義務化となります
という文言でした。

当院では健康保険の取り扱いをしていないため、健康保険受領委任払い制度を利用していませんが、交通事故労働災害に関しては被害者救済を優先する観点から保険の取り扱いをしております。
そのため、交通事故による自賠責保険については被害者の方のサインなどは毎月レセプトを記載する際に頂いていないため、これはおそらく損害保険会社と整骨院接骨院が直接やり取りしているため「受領委任払い」でないのだろうと勝手に思っていましたが、労災に関して言えば、職場で書いてもらった用紙に労災に遭われた方のサインを書く欄があるため、おそらく「受領委任払い」となっているのだろうと、保険を扱いながらなんとなくで20年近くやっているのがお恥ずかしいですが、そのように考えると労災を扱っている以上、受領委任払いをしているため、上記のオンライン資格確認(資格確認限定型)というよく分からないシステムに申請する必要があるのか不明だったため、先日厚生労働省のコールセンターに電話確認してみました。
返ってきた返事は
健康保険の請求をしていないのであれば必要ありません
とのことでした。

ちなみに余談ですが、最近お客様相談窓口など、様々なコールセンターの問い合わせ先がありますが、毎回問い合わせてもなかなか繋がらず、1時間以上かけ続けても繋がらないということがしばしばあります。
そんな時は受付時間の最終間際が最も繋がりやすいようですので、何度も何度もコールセンターにかけても繋がらないというイライラする経験をされた方は受付時間終わり間際を狙ってみるというのもアリです。

ここで改めて「受領委任払い」というものがどういう仕組みかよくご理解されていない方もいらっしゃるため改めて「直接請求」「受領委任払い」「償還払い」の3つについて書いてみたいと思います。

直接請求」というのは、病院歯医者さんなど医師または歯科医師のもとで治療を受ける時に健康保険証を提示すれば、医師や歯科医師は直接保険組合に保険の請求ができる仕組みのことで、我々日本国民であればいつでもどこでも医療を平等に受けることができるのです。

大学時代に兵庫県の友人宅に泊めてもらっていた際に体調不良に見舞われ、健康保険証のコピーしか携帯しておらず、全額自費精算し、後日健康保険証を持参して保険分を精算しなおしてもらった経験がありますが、健康保険制度があるお蔭で我々は誰もが平等な医療を受けることができているのです。

次に「受領委任払い」という制度は整骨院鍼灸院など柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師が開設している施術所で施術を受ける際、健康保険証を提示するとともに委任状へのサインというものが必要となります。そのサインは健康保険証の世帯主の名前で書く必要があるため、例えば子供が整骨院へ通っても旦那さんが世帯主であれば旦那さんの名前でサインする必要があります。
そうして委任状にサインをしているから窓口で支払うのは一部負担金のみで、残りが保険つまり税金で賄われているのです。

次に「償還払い」という制度は、皆さんが最も経験されたことがあるもので分かりやすい例えを挙げるとしたら、整形外科などで作ってもらったコルセットや装具がこの「償還払い」となっています。整形外科などの病院で腰椎コルセットや足首の装具などをサイズを計測して義肢装具士が作ったコルセットなどを全額窓口でいったん支払い、その後保険組合などに申請しに行けば還付されるというものがこの償還払いに当てはまります。

本来、整骨院鍼灸院などを利用する際、償還払い制度によって受診者は一旦全額窓口で負担し、自ら保険分を用紙に記載して保険組合などに申請するようになっていましたが、それではあまりにも受診者の金銭的な負担や手続きの負担が大きくなることから、保険請求を整骨院鍼灸院などが代理で委任状をもらうことで請求しているというのが現状となります。

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このような用紙にサインをすることで、受診者は整骨院接骨院に委任することができるため、健康保険が適用されているのです。
整骨院接骨院では傷病名としてレセプト用紙に記載できるのは「骨折」「脱臼」「打撲」「捻挫」「挫傷」の5つの名称のみとなります。
そして「骨折」と「脱臼」は応急処置後、必ず整形外科など病院へ行ってもらう必要があります。
「打撲」「捻挫」「挫傷」に関しては、整骨院・接骨院で独自に判断することで傷病名をつけることができます。

では整骨院・接骨院で健康保険診療を受けておられる方で、上記の用紙に委任のサインをしたものの、ご自身の傷病名が「打撲」なのか「捻挫」なのか「挫傷」なのか、どういった傷病名として保険請求してもらっているのか知っておくことが必要です。
なぜなら「委任」しているからです。

保険が適用されるということは、我々が日々納めている税金というもので賄われています。
今年は「#確定申告ボイコット」という言葉をあちこちで見かけますが、国会議員の裏金問題で脱税が疑われている上級貴族?さんたちが納税していないのであれば、我々一般国民はいちいち煩わしい確定申告などしないでおこうという動きがあるようですが、国民全体で納税して支えあうことで健康保険制度がはじめて成り立ちます。
ですので納税は国民の義務のため、確定申告は非国民や倫理に欠けた生き物でない限りはするべきです。

日本のように健康保険制度がある国は世界的に見ても珍しく、ドイツ・フランス・イギリス・スウェーデンといった先進国以外の各国はそもそも健康保険制度というものがないため、医療にかかる費用は全額自費となります。
アメリカで虫垂炎を患った場合、かかる医療費は300万円以上となるそうです。
ですので、アメリカでは虫垂炎の手術を受けることができずに亡くなられる方もあるそうです。

整骨院接骨院の受領委任払い制度が今回のマイナンバーカード健康保険証の紐づけによって、もしかしたら償還払い制度にでも一旦切り替わるかと思いきや、マイナンバーカードを読み取るタブレット等端末を導入することで令和6年12月以降も今まで同様にマイナンバーカードを整骨院・接骨院の受付で提示すれば今まで同様受領委任払いによってサインさえすれば健康保険が適用されて一部負担金のみで通院することが可能となります。

ということで、整骨院・接骨院不正請求はまだまだ終わりの見えないトンネルの中のままということになりますが、最低限として整骨院・接骨院を受診されている方は、ご自身の今通っている整骨院で健康保険診療として受診しているのであれば、「打撲なのか」「捻挫なのか」「挫傷なのか」自分のケガしている部位がどの部位でどのような負傷名をつけられているのかを知っておくことが大切です。
肩こりでも健康保険証提示すれば保険扱いで安くてお得
慢性的な腰痛でもマッサージしてくれる整骨院だから安心
というような安易に健康保険を使っていて、いざ
保険が使えると思ってました。知りませんでした
というような言い訳をしているようであれば、まるで上級貴族?たちが
「裏金?下の者に任せてたため知りませんでした」
と苦し紛れの言い訳をしているのと同じです。

国民全体でこの健康保険制度を守る意識があってこそ、本当に医療を必要としているところにきちんと行き届くのです。