ばね指と糖尿病の関係、整骨院で驚きの改善体験!

先日泉南市より来院された方から、
「何気なく親指を動かしていたらピキっとなって痛くなった」
ということをおっしゃられていたため、今回はばね指について書いてみたいと思います。

1.ばね指とは何か:症状と原因の基礎知識

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ばね指は、指の腱鞘炎のことで、指の腱(けん)と腱鞘(けんしょう)に炎症が生じることで、指の曲げ伸ばしがスムーズにいかなくなる状態を指します。指を伸ばそうとすると、まるでバネが弾けるようにカクンと伸びることから、「ばね指」と呼ばれています。


①ばね指の主な症状

ばね指の症状は、初期段階では軽い痛みや違和感から始まり、進行すると指の動きが大きく制限されるようになります。

指の付け根の痛みと腫れ 

指の付け根(手のひら側)に痛み、腫れ、熱っぽさを感じることがあります。この部分を押すと痛むことが特徴です。特に親指、中指、薬指に多く見られますが、どの指にも起こりえます。

指のカクつき(ばね現象) 

指を曲げ伸ばしする際に、途中で引っかかったり、カクンと弾けるような感覚(ばね現象)が現れます。ひどくなると、指が曲がったまま、あるいは伸びたまま動かせなくなることもあります。

朝のこわばり 

朝方に症状が強く現れる傾向があり、指がこわばって動かしにくく感じることが多いです。日中に指を使っていると、症状が軽減することも少なくありません。これは、夜間に指を動かさないことで腱がむくむためと考えられています。

進行による悪化 

症状が進行すると、ばね現象が頻繁に起こり、やがては指が完全に動かせなくなる「拘縮(こうしゅく)」という状態になることがあります。拘縮が起こると、治療が難しくなるため、早期の発見と治療が重要です。

これらの症状は、手指を酷使する方に多く見られますが、更年期の女性や妊娠・出産期の女性、糖尿病や関節リウマチ、透析を受けている方にも発症しやすい傾向があります。


②ばね指の具体的な原因とは?

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ばね指は、指を動かすための「腱(けん)」と、その腱が骨に沿ってスムーズに動くようにトンネルの役割を果たしている「腱鞘(けんしょう)」の間に炎症が起きることで発生します。炎症によって腱鞘が厚くなったり、腱の一部が腫れたりすることで、腱が腱鞘の中を通りにくくなり、指の動きが引っかかるようになるのです。

繰り返しの負荷

最も大きな原因は、指や手への繰り返しの負荷です。日常的に手や指を酷使する動作が多いと、腱とその周りの組織に摩擦や炎症が生じやすくなります。職業的な原因:

パソコン作業(タイピング、マウス操作)

料理人、美容師など、指先の細かい作業が多い職業

重いものを持つ、運ぶ作業

趣味やスポーツ:

ゴルフ、テニス、野球などのスポーツ

楽器演奏(ピアノ、ギターなど)

手芸、ガーデニング

育児:

赤ちゃんを抱っこする、離乳食を作るなどで手を使うことが多い

加齢による変化

年齢を重ねると、腱や腱鞘の組織も少しずつ弾力性を失い、傷つきやすくなります。特に50代以降の方に多く見られるのは、加齢による組織の変性が関係していると考えられています。女性に多いのは、女性ホルモンの変化も影響している可能性があります。

ホルモンバランスの変化と疾患

女性ホルモン:

更年期: 女性ホルモン(エストロゲン)の減少により、腱鞘がむくみやすくなり、ばね指を発症しやすくなると言われています。

妊娠・出産期: ホルモンバランスの変化や、赤ちゃんを抱っこするなどの指への負担が増えることで発症することがあります。

基礎疾患:

糖尿病: 糖尿病の方は、腱や腱鞘の組織が硬くなりやすく、炎症が起こりやすい傾向があります。

関節リウマチ: 関節の炎症が腱鞘にも影響を及ぼし、ばね指を引き起こすことがあります。

透析を受けている方: 腎臓の機能低下により体内に老廃物が蓄積しやすく、それが腱鞘炎の一因となることがあります。

これらの要因が単独で、あるいは複数組み合わさることで、ばね指は発症しやすくなります。


2.糖尿病がばね指に与える影響

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糖尿病とばね指は全く関係のないように思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、糖尿病はばね指の発症リスクを高めるだけでなく、症状の悪化や治療の困難さにも影響を与えることがあります。血糖値が高い状態が続くことで、体内のさまざまな組織に変化が生じ、それがばね指の発生に繋がりやすくなるのです。

血糖値と組織の変化

糖尿病の患者さんでは、高血糖状態が続くことで、体内のタンパク質と糖が結合しやすくなります。この現象を「糖化」と呼びます。糖化が進むと、腱や腱鞘、関節を構成する組織が硬くなり、弾力性が失われます。

腱の硬化: 腱そのものが硬くなることで、腱が腱鞘の中をスムーズに滑走しにくくなります。これは、まるで古いゴムホースが硬くなって柔軟性を失うようなイメージです。

腱鞘の肥厚: 腱鞘の組織も糖化の影響を受け硬く、厚くなります。結果として、腱が通るトンネルが狭くなり、摩擦が生じやすくなります。

これらの変化が複合的に起こることで、指の曲げ伸ばしの際に引っかかりが生じやすくなり、ばね指の発症リスクが高まります。また、指の付け根の痛みを引き起こす「腱鞘炎」も発症しやすくなると考えられています。


炎症と血流悪化

糖尿病では、免疫機能が低下しやすく、全身の炎症反応が高まりやすい傾向があります。これにより、腱や腱鞘に炎症が起こりやすくなります。さらに、糖尿病は末梢の血流を悪化させるため、炎症が起きた部分への栄養供給や老廃物の排出が滞りやすくなり、症状の回復を遅らせる可能性があります。


治療への影響

糖尿病の合併症は、ばね指の治療にも影響を与えることがあります。

保存療法の効果減弱

ステロイド注射などの保存療法は、一般的に有効ですが、糖尿病患者さんの場合、血糖コントロールが悪いと、ステロイドの成分が血糖値を一時的に上昇させる可能性があります。そのため、ステロイド注射の回数や量に制限がかかったり、効果が得られにくかったりすることがあります。

手術後の回復の遅延

もし手術が必要になった場合でも、血糖コントロールが不良だと傷の治りが遅れたり、感染のリスクが高まったりすることがあります。

このように、糖尿病はばね指の発症から治療の経過に至るまで、様々な側面で影響を及ぼします。糖尿病の患者さんがばね指の症状を感じた場合は、病状を考慮した上で適切な治療計画を立てることが非常に重要です。血糖コントロールを良好に保つことが、ばね指の予防や改善にも繋がります。


3.ばね指の治療アプローチ

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ばね指の治療は、症状の程度や原因、患者さんの状況によって「保存療法」と「手術療法」の二つのアプローチがとられます。まずは負担の少ない保存療法が第一選択となることが多いです。

①保存療法:症状の緩和と進行の予防

保存療法は、指や腱への負担を軽減し、痛みや炎症を抑えることを目的とします。

安静と固定:

痛みがある場合は、その指を使わないように安静にするのが基本です。

症状が強い場合は、夜間に装具やテーピングで指を軽く固定し、曲がったままにならないようにします。これにより、腱や腱鞘への負担を減らし、回復を促します。

薬物療法:

内服薬・外用薬: 痛みや炎症を抑えるために、湿布や塗り薬、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)などの内服薬が処方されます。

ステロイド注射: 炎症が強い場合や、他の治療で効果が見られない場合に、腱鞘内にステロイドと局所麻酔薬を混合したものを注射します。これにより、炎症を強力に抑え、一時的に痛みが和らぎ、指の動きが改善されることが多いです。ただし、効果は数週間から数カ月で、繰り返し注射すると組織を傷つけるリスクがあるため、頻繁には行いません。特に糖尿病患者さんの場合は、血糖値に影響を与える可能性があるため、慎重に検討されます。

理学療法:

痛みのない範囲でのストレッチやマッサージ・整体などが効果的な場合があります。血行促進や指の柔軟性向上を目指します。


②手術療法:根本的な改善を目指す

保存療法で効果が得られない場合や、ばね現象が著しく日常生活に支障をきたす場合、あるいは指が完全に伸びなくなってしまった(拘縮)場合には、手術が検討されます。

腱鞘切開術:

局所麻酔下で行われる比較的簡単な手術です。

指の付け根を小さく切開し、厚くなって腱の通り道を狭くしている腱鞘を切り開きます。

これにより、腱の圧迫が解消され、指の引っかかりがなくなります。

手術時間は短く、術後すぐに指を動かすことが可能です。ただし、術後にリハビリが必要になることもあります。

注意点: 治療の選択は、個々の症状だけでなく、糖尿病などの持病の有無も考慮して医師と相談の上、決定することが重要です。糖尿病患者さんの場合は、血糖コントロールの状態によって、ステロイド注射や手術のタイミングが慎重に判断されます。


4.ばね指に対する手技療法の有効性

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ばね指(弾発指)は、指の屈筋腱が腱鞘を通過する際に引っかかりを生じる状態であり、痛みや動作の制限を引き起こします。この状態に対する手技療法の有効性は、臨床的に注目されています。手技療法は、非侵襲的なアプローチとして、ばね指の症状緩和に寄与することが期待されます。

手技療法の主要な目的は、腱と腱鞘の間の摩擦を減少させ、滑走性を改善することです。これにより、指の屈伸時の引っかかり感や痛みを軽減することが可能です。具体的な手技としては、腱鞘周辺の軟部組織の緩和、腱滑走の促進を目的としたマッサージや、関節の可動域を広げるためのストレッチが含まれます。これらの手技は、腱鞘内の炎症を軽減し、腱の滑走をスムーズにすることで、症状の改善を図ります。

さらに、手技療法は個々の症状に応じてカスタマイズされるため、患者の状態に適した治療計画を立てることが可能です。また、手技療法は他の治療法、例えばステロイド注射や外科的介入と併用されることもあり、全体的な治療効果を高める役割を果たします。

結論として、ばね指に対する手技療法は、指の機能改善と痛みの軽減において有効な手段の一つです。臨床的には、患者個々の状態に応じた手技療法の適用が推奨され、症状緩和とQOLの向上に寄与することが期待されます。

症状が出始めてからいかに早期に改善へ向けた取り組みをされるかも大きく左右されます。長年放置していると治りも悪く、結果手術を余儀なくされる場合もあります。


5.予防とセルフケアの重要性

ばね指に対するセルフケア - 東金沢整形外科クリニック

予防の観点からは、日常生活における過度な手指の使用を避けることが推奨されます。特に、反復的な動作や過度の負荷がかかる作業は、ばね指の発症リスクを高めるため、適度な休息とタスクの分散が重要です。また、手指の筋力を維持し、柔軟性を高めるためのエクササイズも有効です。これには、指を優しくストレッチし、可動域を保つ運動が含まれます。

セルフケアとしては、初期の痛みや違和感を感じた際に、温熱療法やアイシングを行うことが効果的です。これにより、腱鞘の炎症を軽減し、腱の動きを滑らかにすることが可能です。また、安静を保ち、負担を軽減するために、テーピングやサポーターの使用も考慮されます。

さらに、適切な栄養摂取もセルフケアの一環として重要です。ビタミンCやコラーゲンの生成を助ける栄養素を含む食事は、腱や軟部組織の健康維持に

寄与します。


結論として、ばね指の予防とセルフケアは、日常生活における負荷の管理と、適切な対応策の実施により、指の健康を維持し、症状の発現や悪化を防ぐために不可欠です。患者自身が積極的に取り組むことで、QOLの向上が期待されます。