
どんな症状?
症状の感じ方は人それぞれで、「むずむずする」「ピリピリする」「虫が這うような感じ」「かゆい」「だるい」などと表現されます。これらの不快感は、脚の表面ではなく奥深くで感じられることが多いです。まれに腕や体幹に症状が出ることもあります。特に睡眠時に不快感が強くなるため、入眠困難や中途覚醒など、睡眠障害を引き起こし、日常生活に大きな影響を与えることがあります。

むずむず脚症候群の最も有力な原因の一つとして、脳内の神経伝達物質であるドーパミンの機能異常が挙げられます。ドーパミンは運動機能の調節に関わる重要な物質で、その働きがうまくいかないと、脚の不快な感覚や不随意運動(意図しない動き)につながると考えられています。
②鉄分不足
ドーパミンが脳内で作られる過程には、鉄分が不可欠です。このため、体内の鉄分が不足するとドーパミンの生成量が減少し、結果としてむずむず脚症候群の症状を引き起こすことがあります。鉄欠乏性貧血の人は、この症候群を発症しやすい傾向があります。特に子どものむずむず脚症候群では、鉄欠乏の影響が大きいとされています。
③他の病気や薬剤の影響(二次性RLS)
むずむず脚症候群の中には、他の病気や服用している薬が原因となって発症する「二次性」のものがあります。
関連する病気:
慢性腎不全(特に透析を受けている場合)
鉄欠乏性貧血
パーキンソン病
糖尿病
関節リウマチ
脊髄症、神経根症、末梢神経障害
特定の状態:
妊娠中:妊娠中は鉄分需要が増えるため、鉄欠乏が起こりやすくなります。出産後は改善することが多いですが、再発することもあります。
一部の薬剤
その他の要因
遺伝的要因: 家族の中に同じ症状の人がいる場合、発症しやすい傾向があるため、遺伝的な要因も関係していると考えられています。
生活習慣: カフェイン、アルコール、タバコの摂取は、症状を悪化させる可能性があります。
これらの要因が複合的に絡み合って、むずむず脚症候群が発症すると考えられています。症状が気になる場合は、専門医に相談して適切な診断と治療を受けることが大切です。
①生活習慣の見直し
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カフェイン・アルコールの制限: コーヒー、紅茶、エナジードリンクなどのカフェイン飲料や、アルコールは症状を悪化させることがあります。可能な範囲で摂取を控えめにしましょう。
禁煙: タバコのニコチンも症状に悪影響を与える可能性があるため、禁煙を検討することをおすすめします。
規則正しい睡眠: 毎日の就寝・起床時間を一定にし、十分な睡眠時間を確保することで、体のリズムを整え、症状の軽減につながることがあります。
②軽い運動とストレッチ
適度な運動: ウォーキングや軽いジョギングなど、夕方以降に負担の少ない運動を取り入れることで、血行が促進され、症状が和らぐことがあります。ただし、激しい運動はかえって症状を悪化させる可能性があるので注意が必要です。
ストレッチ: 寝る前にアキレス腱やふくらはぎを優しく伸ばすストレッチも効果的です。筋肉の緊張をほぐし、リラックス効果も期待できます。
③入浴やマッサージ

温める・冷やす: 脚を温める(温かいお風呂に入る、温湿布を貼る)または冷やす(冷湿布、冷水に浸す)ことで、一時的に不快感が軽減されることがあります。ご自身にとって心地よい方法を見つけてみましょう。
マッサージ: 脚の不快な部分を優しくマッサージするのも効果的です。血行を促進し、筋肉の緊張を和らげることができます。ただし健康サンダルや足つぼグッズなどは過度な刺激になり、症状が余計に悪化する場合もあるためあまり強い刺激を与えることは気をつけなければなりません。

むずむず脚症候群の症状緩和には、食事や栄養の工夫がとても大切です。特に、鉄分不足が原因の一つとされているので、積極的に摂りたい栄養素です。
①鉄分
むずむず脚症候群の原因の一つに鉄分不足があり、鉄分を適切に摂取することは症状緩和に効果的です。鉄分は、脳内の神経伝達物質であるドパミンの生成に不可欠だからです。
多く含む食品: レバー、赤身の肉(牛もも肉など)、ほうれん草、豆類、貝類(あさり、赤貝など)。
おやつにおすすめ: プルーン、ブラックチョコレート、アーモンドフィッシュ。
チョコレートにはカフェインも含まれるため、症状が悪化する場合はノンカフェインやホワイトチョコレートを選ぶと良いでしょう。
②鉄分の吸収を助ける工夫
ビタミンC: オレンジやレモンなどの柑橘類を一緒に摂ることで、鉄分の吸収が促進されます。
ヘム鉄と非ヘム鉄:
ヘム鉄:肉や魚の赤身に多く含まれ、吸収率が高いのが特徴です。他の食品と合わせても吸収が妨げられにくいです。
非ヘム鉄:野菜や穀類などに多く含まれ、吸収率はヘム鉄よりも低いですが、ビタミンCと一緒に摂ることで吸収率が上がります。
両方の種類の鉄分をバランス良く摂ることが大切です。
③その他の栄養素
葉酸・ビタミンB12: これらのビタミンは神経機能の維持に関与しており、不足がむずむず脚症候群の原因となる可能性も指摘されています。
葉酸: 緑黄色野菜、豆類、レバー、卵黄、納豆、ブロッコリーなどに豊富に含まれます。
ビタミンB12: 肉、魚、卵、乳製品などに多く含まれます。
マグネシウム: 筋肉や神経の機能に関わるミネラルで、不足がむずむず脚症候群に関連している可能性を示す研究もあります。
多く含む食品: 海藻類(ひじき、海苔など)、ナッツ類、大豆製品(豆腐、納豆など)、ほうれん草、牡蠣、米、みそ、まぐろなど。
ビタミンD: ビタミンD欠乏も関連が報告されています。
多く含む食品: 青魚(いわし、かつおなど)、きくらげ、干ししいたけなど。
オメガ-3脂肪酸: 炎症を抑える効果や神経機能への良い影響が期待されます。
多く含む食品: サバやイワシなどの青魚。

セルフケアを試してもむずむず脚症候群の症状が改善しない場合は、専門家による治療を検討することが大切です。つらい症状を我慢せず、適切な治療を受けることで、日常生活の質を大きく改善できます。
専門家による治療法
むずむず脚症候群の治療では、患者さんの症状の重症度や状態に合わせて、様々な選択肢があります。
①薬物療法
症状が中程度から重度の場合や、生活習慣の改善だけでは効果が得られない場合に薬物療法が検討されます。
鉄剤の服用
血液検査で鉄分不足が確認された場合、鉄剤を服用することで症状の改善が期待できます。むずむず脚症候群は、脳内の鉄分不足が原因の一つとされているからです。鉄分は食事からも摂取できますが、鉄剤を使うことで効率的に必要な量を補給できます。
ドーパミン作動薬
むずむず脚症候群の原因の一つであるドーパミンの機能低下を補うために、ドパミン作動薬が使用されることがあります。これにより、むずむず感が軽減されます。ドーパミン作動薬は、むずむず脚症候群の全ての症状(脚の異常感覚、不随意運動、睡眠障害など)を改善する効果が期待でき、服用開始から数週間で症状の明らかな改善が見られることがあります。ただし、長期使用で症状が悪化する可能性も指摘されているため、必要最低限の使用にとどめることが重要です。副作用として、吐き気や嘔吐、腹部不快感などが現れることがあります。
アルファ2デルタ刺激薬
慢性的で持続するむずむず脚症候群の場合、アルファ2デルタ刺激薬が第一選択薬として推奨されることがあります。
ベンゾジアゼピン系薬剤
睡眠導入剤や精神安定剤として知られるベンゾジアゼピン系薬剤は、脳の機能を全体的に低下させることで、不快感が多少残っていても眠りにつきやすくする効果があります。特に夜間に症状が集中して睡眠障害がある場合に有効で、不眠の改善や周期性四肢運動障害を減少させますが、むずむず感そのものへの直接的な効果は少ないとされています。副作用として、日中の眠気や倦怠感などがあります。
オピオイド(鎮痛剤)
非常に強い痛みや不快感で日常生活に大きな支障が出ている場合、オピオイド(鎮痛剤)が使用されることがあります。これらは長時間続く慢性的な痛みに用いられ、他の薬が効かない場合に検討されますが、副作用や依存性の懸念があるため、最小限の使用に留めることが大切です。
その他
他に、抗てんかん薬(クロナゼパム、ガバペンチンなど)や筋弛緩剤、抗うつ剤などが症状に応じて使われることもあります。
②整体 ストレッチ 運動療法 鍼灸
整骨院での整体やストレッチなどは国家資格取得者である柔道整復師が体のバランスを整えたり筋肉をストレッチすることでむずむず症候群の症状改善に役立つ場合があります。
また、鍼灸院での鍼灸治療によって経絡に針やお灸をすることで症状改善に繋がる場合があります。
その他、理学療法士や作業療法士などといった国家資格を持った手技療法家による整体やストレッチなどを受けることで、上記の薬物療法と並行して症状改善に役立つ場合があります。あなたのまちの整骨院や整体院・鍼灸院などの手技療法家の治療院に相談してみるのも一つです。


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