保険があると助かる反面・・・

昨日また一つ年をとってしまいました。
人生もうすでに半分以上経過しているので、一日一日を大切に、そして何よりも健康に過ごせることに注力したいです。

さて、整骨院といえば健康保険が使えるというのが大前提と思われている大阪府
だからこそ大阪府が全国で断トツの1位で整骨院の数が多い都道府県となっております。
その数なんと6,982件
日本で一番人口の多い東京都でさえ全国2位で6,161件となっているのにさらにその上を行く大阪
3位の埼玉県となると一気に下がって2,933件。

なぜ大阪府にこんなにも整骨院 接骨院の数が多いのか?
それは単純に
保険が他府県よりも圧倒的に緩いから
です。

自分は生まれ育ったのがたまたま大阪だったため、大阪で開業しておりますが、貝塚市の中だけでも30件以上はあるのではないでしょうか。
その中でも数少ない自費診療に特化した整骨院となります。

自分がこの仕事に就こうと決心したきっかけは会社のリストラ。
当時は就職氷河期と言われていましたが、大学卒業後は当たり前のように一般企業に就職することしか頭にありませんでした。
せっかく企業に就職するならと、どうせなら親の会社より大きな企業に就職してやろうと思い、親の同業他社いわゆるライバル会社に就職しました。
コネではなくアンチコネで東証一部上場の非鉄金属メーカーに入社しました。

入社して1か月目は全国各地にある工場見学ツアーであちこちに同期50名と一緒にバスで点々とするため、楽しくて楽しくて仕方なかった毎日でした。
ですが、5月に入りようやく自分の新人第一号の配属先が決まった時には困惑しました。
希望配属先をアンケートで求められ、「暖かいところ」と書いたにも関わらず配属されたのが秋田県

言葉の壁と寒さの壁につまずき、毎日仕事が楽しくない日々が続きました。
そんな時たまたま会社が不景気によるリストラをしだしたため、真っ先に手を挙げました。
新入社員をリストラするより幹部クラスをリストラしたい会社側の意向に反していたため、当然引き止められもしましたが、このまま勤めていても自分のほうが参ってしまうと思い、サラリーマンを1年目で卒業しました。

その後大阪に戻ってきて、いざ自分の今までの経験から役に立てる仕事はないかと思いついたのが整骨院でした。
自身が学生時代スポーツによるケガがきっかけで整骨院整体院にお世話になったことが多々あり、
なんで腰痛で辛いのに2時間以上も待たされて挙句に低周波を患部に当ててもらって先生がちょっと腰を数回マッサージしたらもう終わり?でも500円やから仕方ないか
というところから保険が適用されて安いから仕方ないと諦め半分で通院することが多かったため、どうせならもっと良い施術を身につけて役に立ちたいという思いからこの職に就きました。

最初にお世話になったのが羽曳野市整骨院で、そこは朝から夜までひっきりなしに患者さんが来院され、1日平均100人以上というのが普通でした。
慢性的な肩こりを訴えて毎日のように通われる方、もう10年以上も腰痛で悩まされ続けている方、クラブ活動の帰りに野球で痛めた肘に低周波を当てに来る学生さんなど様々な症状の方が多数来院されていたため、とても勉強になりました。
ですが自分がお世話になる5年ほど前までは閑古鳥が鳴いている毎日だったそうです。
たまたま院長が深夜番組で芸能人をマッサージする番組に出演したことがきっかけで一気に羽曳野市でも超有名整骨院へと様変わりしたそうです。
やはりメディアの力は凄いですね。
今は既に閉院してしまわれたそうですが。

様々な症状の方が来院されていたものの、どなたも健康保険が使えるのが当たり前でお会計時には数百円払って帰っていく。そしてまた毎日のように来院される。
これが整骨院のシステムだとずっと思っていました。

ですがその当たり前のことが崩壊したのが和泉市で院長を任されたときのことでした。
レセプトいわゆる保険請求業務を任されたときにはじめて
えっ、これかなり無茶ぶりでないと保険の対象とするのは難しいよな
と思いながらも毎日のように来院される方々を毎日のようにマッサージして、時に希望する方にはボキボキ背骨骨盤を鳴らしたりして数百円。
それが普通で通ってきたからそれ以外の術が分からずまま泉南市で開業し、その後貝塚市へ移転しました。

当然保険診療しかない世界で仕事し続けてきたものですから、開業してからも当然保険診療一本で通してきました。
あと整骨院保険がまかり通っていたのは
亜急性
という概念が認められていたのもあります。
亜急性とは慢性のものでも繰り返し動作によってだんだんと症状が悪化していくものも含まれるため、受診する側が希望すれば保険適用という扱いでもなあなあで済まされてきました。

ですが自民党から民主党に政権交代したときに行われた事業仕分けによって無駄な税金の見直しの一部に整骨院の「亜急性」をなくし、急性か慢性のみに分類されたため、あの時にどっさりと保険却下で返戻されました。
その時にはさすがにマズイと思いました。
保険診療は単価が安く疲れる割には実入りが少ないため、スタッフにはなけなしの給料しか与えることができず、スタッフと施術レベルをある程度均一にするためにスタッフ全員が横並びでマッサージする日々。
しかも
スッキリって整骨院、貝塚でも一番よく揉んでくれるところやで~
なんて噂が立つと余計に一人一人に時間をかけてあちこちマッサージする毎日。
朝から手がむくんで腫れあがっている状態が続く日々でした。

こんなことしていたら自分がいつも後ろめたい気分で仕事して楽しくないし、スタッフにはイライラを当たり散らすし、何といってもこのスタイルでは体が悲鳴を上げて長くは続けられないと思い、スタッフに保険診療を任せて自分は少しずつ自費診療のみ受け付けるスタイルに切り替えました。
そして今後保険診療を一切やめて自費診療一本に切り替えることを毎日のように来院されている方に伝えると
そんなん保険使われへんのやったら来るわけないやん。スッキリさんも終わったね
と10年近く前に言われた言葉を今も反面教師の言葉として心に刻んでいます。

ですが保険がきいて安く受けられるなら通うけど、自費なら無理という方に共通するのは
①マナーが悪い

②体を良くしたいという意識レベルが低すぎる

③そもそも整骨院で保険適用となる急性外傷性の骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷ではない

全員がそうではないでしょうが、かなりの方がそうだと思います。

保険があると助かる反面、自分の懐が痛まなければ安いほうがいいというリテラシーのない方が増え続けると当然保険制度が崩壊しかねない。
今の流行り病のお注射もそうですよね。
無料やから打つけど、自分でお金払わなあかんのなら絶対打たない
という方。
無料と言いながら貴重な税金を使っているにも関わらず、まさに自分の懐が痛まなければというドケチ根性。
大阪ならではなのかも知れませんが、本来は必要とする人が必要に応じてその対価としてお金を自分で払うのが当然のことです。
保険があると助かる反面、人の心を貧しくします。
本当に必要なところに保険が使われることが一番です。
だから今は当院では健康保険を使った施術は一切提供しておりません。
20年以上の経験値をもってすれば、わざわざ保険診療で自分の技術の安売りをしなくてもまともな患者さんがついてきてくれればそのほうがやりがいがある。
自分の腕に自信がある整骨院の先生方、さっさと保険診療をやめて本物を求める方に本物を提供しましょうよ。
そう言いたくなる。

ですが一応交通事故労働災害は保険を適用しております。
被害者救済を第一に考えているからです。
労災ではまだありませんが、交通事故はグレーな方がちょくちょくあります。
それもそのはず、一日通院すればその度に慰謝料がもらえるからです。
半年きっちり毎日通って示談終了すれば絶対にもう来ないという方。
毎日通わなくても大丈夫ですよ
とお伝えしても毎日通いたがる方は完全に確信犯でしょうが、そうダイレクトには言えない。
ご本人が痛いと言えばそうではないと否定はできないから。

ですので今後は損害保険会社からの依頼でなければ交通事故治療は受け付けない方針にする予定です。
今までも何度も
どうせ貝塚市で整骨院に通うならスッキリさんに通って
損害保険会社からの依頼で交通事故治療を請け負ったことがあります。
なぜ保険会社から逆指名されるか?
それは「早期改善
に徹底しているからです。
しかも交通事故の被害者の方は大半が損害保険会社から整骨院へ通院することを拒まれ、整形外科だけ通院することを許されている方が毎日のように整形外科低周波ホットパックで温めてもらって湿布や痛み止めの飲み薬はもらうものの痛みが取れないからということで損害保険会社から当院が逆指名される。
一気にスッキリの株が上がる瞬間です。
しかも一般的な整骨院で急性外傷性のけがでないにも関わらず健康保険診療がメインのため、交通事故の保険単価のほうがどうしても高いため
交通事故専門
などと謳っているが、当院はむしろ交通事故の保険単価のほうが安くなるため、長く引っ張って漫然と通院してもらうことに注力するより早く良くなってもらって示談終了してもらい、その方が交通事故以外の腰痛肩こりで悩んでいるお友達やご家族を紹介してくれるほうがはるかにいいので早期改善に注力している。

保険は本当に有難い制度です。
国民一人一人が保険で助け合いができる本当の国民皆保険制度をこの日本から守っていきたいものですね。