最近は24時間営業のスポーツジムや女性専用のフィットネスなんかもあちこちにできていて、まさに健康ブーム到来ですね。
今回は貝塚市南町からお越しの方についてお話しますね。
『体操教室に通っていて、体操しすぎてだんだんと右肩の疲れが取れにくくなってきて、ある日朝起きたら急に肩が痛くて上がらなくなって疼いて辛い』
とのこと。
体操教室に通い始めたきっかけはダイエット。
当院でも10年以上前に『耳つぼダイエット』にチャレンジされ、10kg近くのダイエットに成功され、その後10年近く体重をキープできていたものの、ここ2年でまた少しずつ太りだしてきたことがきっかけで、岸和田に住んでいるお友達のお誘いもあって、半年前から体操教室に通われていたとのこと。
体操することは健康を保つ上でもダイエットにもとても効果的です。
ですが、疲労が取れにくくなってきている状態のまま体操教室に通い続ける生活をしつづけておられたため、今回肩が痛くて体操教室で体操すらできないくらいに右肩が痛くて疼いている状態にまでなってしまっていました。
貝塚市内のご近所さんで同じように肩の痛みで整形外科で注射を打ってもらっている方からもアドバイスをもらっていたそうで
『五十肩は注射したら治るって聞いたから私もずっと注射行ってんねん。あんたも整形で注射打ってもらっておいで』
と言われたそうですが、注射が怖いとのことで、注射以外の方法でなんとか肩の痛みを解消できないものかということで10年以上前に当院に通っておられたことを思い出され、来院されました。
以前来院された当時、急に来られなくなったため、どうなさったのかお伺いすると、当院の帰り道に自転車で転倒し、膝関節を骨折してしまい、ギプス固定で歩くこともできなかったためだったとのこと。
せっかく10年以上ぶりに来院されたこともあったので、痛みが出ている肩関節だけでなく、昔の骨折の後遺症が膝や足に出ていないか一緒に検査確認をして、身体全体を良くするお手伝いをすることを提案して早速検査開始。
身体の状態を検査確認して診てみると、

右肩が下がり、身体が全体的に右側に傾いている状態。
この状態から推測して、おそらく右の股関節にも硬さの左右差を生じている可能性があります。
腹臥位で検査確認してみると、

左足関節が膝関節をギプス固定していたため、骨折後のリハビリを疎かにしていたようで、硬さと同時に痛みも足首周辺に生じるとのこと。
足首の硬さの左右差を見てみると、

右の足背部はベッドにしっかりと着いている状態ですが、
左の足首を見てみると、

これ以上足背部をベッドに着けようとすると、足首周辺に痛みを伴うとのこと。
次に仰臥位で検査してみると、(スイマセン、言い訳ですが当日股関節の硬さの左右差を撮り忘れたため、後日撮影によって服装に違いがあります)

左股関節はこの程度まで倒すことができますが、

右股関節は左よりも硬く、これ以上倒れない状態。
どうやらこちらの方の五十肩による痛みを引き起こしている原因となっているのは、股関節の硬さの左右差から骨盤が傾き、結果右肩が下がり続けた状態で体操教室で運動し続けたことがきっかけとなって痛みを引き起こしているようでした。
ですので、肩に痛みがあるからと言っても肩関節そのものに問題があるわけではないため、骨盤から矯正していく必要性があります。
ちなみに、結果として痛みが出ている肩関節ですが、ご自身がおっしゃる通り、五十肩です。
五十肩は、肩関節周囲炎とも言われており、炎症を起こして痛めている筋肉はどうやら棘上筋(きょくじょうきん)のようでした。
棘上筋とはこの筋肉です。

この筋肉は、腱板つまりローテーターカフの一部であり、肩関節を安定させるために使われている筋肉で、動きとしては上図の矢印のように、肩関節の屈曲や外転時に使われる微細な筋肉です。
そのため、コップを持とうとした時など、些細な動作でも激痛が走る場合があるのがこの筋肉の特徴。
その他、洗濯物を干そうとするときにも痛みがあって干すことが辛いとのこと。
五十肩の特徴的なサインは
『結髪障害』
つまり髪を結うような肩を上げたりする時に痛くて挙げられないという状態。
そして
『夜間痛』
夜中に疼いて目が覚めるほどの痛み。
この二点があるため、しばらくは無理に痛いのを我慢しながら肩を動かすようなことはせず、出来る範囲のことから少しずつリハビリしていく必要がありそうです。
痛みを伴いながら少々無理して体操教室に通われていたそうですが、あまりにも痛みが増してくるため、しばらくは痛みが引いてくるまで体操教室も休まれるほうが賢明でしょう。
身体の健康のために良かれと思って体操されていたのが、逆に仇になってしまったようです。
今回の流れをまとめると、
➀10年以上前に当院で10kg近く耳ツボダイエットで見事ダイエットに成功
②当院から帰宅途中で自転車で転倒したことで左膝を骨折し、ギプス固定により左足首に硬さの後遺症が残るもののリハビリに取り組まれなかった
③足首をかばって歩くため、右股関節に負荷がかかり、骨盤を支えるために徐々に右股関節が硬くなる
④股関節の硬さに左右差がある状態で体操教室に通い、身体に良かれと思い取り組むものの、徐々に右肩に疲労感が蓄積される
⑤起床と同時に一気に肩に痛みが走り、夜も疼くようになってきた
というのが大きな流れです。
肩に急に痛みが出てきたとのことですが、痛みが出てくるまでに股関節や足首など色々なところの左右差が潜伏し続けてきた結果として時間がかかって痛みが形成されます。
注射を打ってもらって痛みが解消されればそれも手段の一つですので有りです。
整形外科での注射が怖いという方で、痛いのが怖いからとおっしゃられているにも関わらず、整骨院へ行って肩関節をグリグリと痛いくらいにまで動かされて余計に痛くなって治療を断念される方もあります。
痛みが出てから対策をされるまでにそれほど時間が経過していないため、2~3ヶ月あれば痛みは解消されてくるでしょうが、先日歯科で定期検診後、うがいをしようとした際、検診中緊張のあまり全身に変に力が入ったままで診てもらったそうで、急に激痛が久しぶりに出たとのことですので、まずはせめて肩の高さよりも上に肩を挙げられるようになるまでは油断は禁物です。