努力義務って義務ではない

もうすぐゴールデンウィークですね。
今年のゴールデンウィークはコロちゃん騒動もそろそろ終焉を迎えるということで、長い人は4月29日の土曜日から翌週まで丸々一週間お休みと言う方もいらっしゃいます。
当院は、5月6日の土曜日が普通の土曜日のため、4月29日の祝日を受け付ける代わりに5月3日(水)~5月7日(日)まで連休させて頂きます。

長い連休があると、どうしてもその後の仕事や学校などのサイクルにまた戻すことが困難となり、結果「5月病」と言われるだけあって体調不良に陥る方が散見される時期でもあるため、長期連休の方は連休明けの体調管理をしっかりと保つことが大切です。
また、長期連休中にはたくさんの方が移動するため、自ずと交通事故が増えることも予想されます。
交通事故によるむちうちなどのケガをした場合には整形外科などの病院と併用して整骨院接骨院で診てもらうことも可能ですので、ゴールデンウィーク明けは当院でも交通事故によるムチ打ちケガによる通院が増えることが度々あります。
ここ最近よく耳にするのが
交通事故でむちうちに遭ったけど、整骨院に通いたいって加害者側の保険会社に伝えたらアカンって言われた
というもの。
加害者側の保険会社が整骨院へ通院することを拒まれた場合に加入していると助かるのが「弁護士特約」。
交通事故ムチ打ち被害に遭ったにも関わらず、加害者側保険会社から整骨院への通院を拒否された方は、この弁護士特約を活用することで整骨院接骨院への通院も可能となることが多々あります。


さて、体調を崩された方が多く見受けられた今回のワクワクキャンペーン。
当院に来院されている方で最も多く耳にしたのが、
腕の痛み
発熱
悪寒
倦怠感
というものでしたが、中には
下痢
嘔吐
頭痛
などを生じる方もありました。

これだけ副反応という言葉で結局のところ副作用とは異なる言い方によって正義のように扱われて体調不良に陥りながら
撃ったけどかかった
撃ったからかからなかった
と言う方に二分化され、効果のほどはいかほどであったのか、そろそろデータが揃ってこのキャンペーンによって苦しい思いをしたけれど世界的パンデミックから人類が逃れることができたかどうかが測定されることでしょう。

ところで今回のワクワクキャンペーンは「努力義務」であって、「義務」ではなかったということを皆さんはご存じだったでしょうか?
ほとんどの方が職場などの同調圧力やテレビで何度も撃つことを推奨していたから絶対に「義務」であると思い込んでおられた方も多かったのではないでしょうか?

ここで「努力義務」とは一体どういうことなのかを説明しますと、
「努力義務とは、日本の法制上、「~するよう努めなければならない」などと規定され、努力義務に従わなくても刑事罰や過料等の法的措置を受けない作為義務・不作為義務のことである。遵守されるか否かは当事者の任意の協力にのみ左右され、またその達成度も当事者の判断に委ねられる。憲法におけるプログラム規定と似ているが、プログラム規定は憲法上で行政立法の判断で国家が努力すべき義務と規定しており、国民に課されていない」
ということが書かれています。

以前は「努力義務」であったものが、今では「義務化」されたものもあります。
例えば、「雇用機会均等法」が挙げられます。
1985年に努力義務となりましたが、1997年には義務化され、男女などの性差によって均等に雇用する機会を設けなければならなくなりました。
ですがどれだけ法律で義務化されたところで、日本に古くから根付いている「男尊女卑」な考え方からなかなか均等化が進まないため、ここ近年では「育休」と言うように育児休暇を設けることで女性の社会進出を保つ動きが見られています。

また、自動車の後部座席でのシートベルト着用についても1971年から努力義務となっていたものが、2008年より義務化されています。
そのため、自動車の後部座席に乗っている人はシートベルトを着用しなければ交通違反で罰則があるにも関わらず、未だ浸透していないのが現状ではないでしょうか?

このように、義務化されているけど義務だとは認識していないものや努力義務にも関わらず義務だと思い込んでいるものもあったりします。
えっ、自動車の後部座席って高速道路だけ義務化されたんじゃないの?
と先日大阪市内から来院された方がおっしゃられていましたが、一般道も義務化されています。
ただし、高速道路であっても一般道であっても反則金は課されませんし、高速道路では反則金はないものの反則点数が1点課されるとのことで、一般道では反則金も反則点数も課されることがないため、誤解を生じているようです。
ですので、交通事故に遭わないことが一番ですが、人間生きている以上遭いたくなくても遭ってしまう可能性があるのが交通事故。
転ばぬ先の杖」と言われるように、例え交通事故に遭ったとしても「むちうち」などのケガの被害を最小限に止めるためにも、自動車の後部座席に乗ったら必ずシートベルトを着用するようにしましょう。

この4月から「努力義務」となったものがもう一つあるのはメディアを通じてご存じの方も多いでしょう。
自転車運転時のヘルメット着用

先日、海塚の交差点で信号待ちをしていたらヘルメットを被った比較的ご高齢の女性を見かけましたが、まだまだ義務ではないため着用している方はほとんど見かけることがありません。
自分も自転車通勤ですが、今のところヘルメットは着用していません。
今後義務化されれば当然ヘルメットを着用して自転車に乗ることが必須となりますが、現段階ではヘルメットの着用を義務付けることは困難かと推測されます。
理由としては、
自転車免許がない
ことが一番大きな要因かと思います。


このように自転車乗車中の交通事故による死亡者数は年々減少傾向にあります。
減少傾向にある要因として「自動車の安全性能が向上した」ことや「自転車そのものの性能が良くなった」ことなどが挙げられるかと思いますが、疑問に思うのが
なぜ減少傾向にある自転車事故にも関わらず今のタイミングでヘルメットの着用が努力義務になったの?
というもの。

これには何か深い訳があるのかも知れませんが、当然歩行スピードよりも自転車のほうがスピードが出ているため、交通事故などの被害に遭われた時の転倒時の頭部への衝撃を緩和する上では着用していないよりも着用しているほうがまだ安全と言えるでしょう。

ただ、当院へ過去に来院されたことのある自転車乗車時に遭った交通事故によるケガで比較的多いのが
膝の打撲
足首の捻挫
股関節の捻挫
腰部や臀部の打撲
肘や肩の打撲
首のむちうち
などなど・・・。

もちろん骨折レベルの重傷の方もありますが、比較的四肢の打撲捻挫によるケガが多いのが自転車事故による特徴です。
命に関わるレベルの頭部へのダメージなどは当然整骨院レベルでは到底対応出来かねるため、救急病院での治療が必要なため、このような症状の方を当院
で診る機会はありませんが、それでもやはり自転車事故で多くみられるのは「四肢のケガ」のほうが多いように感じます。

自転車によるケガを防ぐためにもヘルメットを着用・・・と言いたいところですが、ヘルメット着用と同時に肘と膝にサポーターを着用することも同時に努力義務化したほうがはるかに自転車交通事故によるケガの被害を減らせられるような気がします。

義務を果たさなければ待っているのは罰則です。
努力義務を果たさなければ待っているのは村八分。
ワクワクキャンペーンでは撃っていない人があたかも広めている風なイメージだったため、努力義務だと言われても実質義務化されていたのとほぼ変わりませんでした。
ヘルメットも着用していない人が村八分に遭うようなことがあれば、自分もはじめ皆さんヘルメットを着用して自転車に乗るようになるでしょうが、まだまだヘルメット着用は浸透するまで時間がかかりそうです。