ここ最近は整骨院・接骨院でも「健康保険を取り扱っていますよ」と大々的にアピールしているところもあれば、「健康保険は取り扱いませんよ」と大々的にアピールしているところも増えつつあります。
また、整骨院などの治療院のホームページを閲覧すると、健康保険診療の負担額を掲載しているところもあれば、自費診療の骨盤矯正や産後骨盤矯正といった、いわゆる整体治療的なページを掲載しているところもあったりします。
「産後の骨盤」
という定義が一体何なのかもはや不明なところもあったりします。
「産後だから出産後1か月?それとも1年?それとも産後から骨盤周りに何か気になることがあれば10年前の出産でも産後の骨盤矯正?」
と考えてしまったりしませんか?
施術メニューに「通常の骨盤矯正」と「産後の骨盤矯正」に分かれていたら、
「自分の骨盤矯正は一体どっち受けたらいいの?」
と迷子になりそうですよね。
また、
「肩こり解消コース」
とか、
「腰痛改善コース」
などのように体の部位によってコースが異なっていたりすると、
「肩こりも腰痛もあるときは両方のコースを受けないといけないの?」
と思ってしまったりしますよね。
このように一つの整骨院や整体院の中でたくさんの施術メニューや施術コースがあったりすると、
「一体自分の体の不調はどのコースを選べばいいのだろう?」
と悩んでしまいますよね。
ちなみに、当院のホームページ内には「SPB療法」といって、体の不調や痛みなどをはじめ、猫背や反り腰、ストレートネックといった背骨のカーブの異常を含み、様々な症状に対して提供している施術はたった一つとなります。
なぜなら、体の不調があったり気になる部位があったりしても、原因となっているものが一人ひとりそれぞれ異なるため、一人ひとりの体の症状・状態に合わせて施術をアレンジしてご提供しているからです。
そもそも開業して20年という月日が経過しますが、この20年間一度たりともどなたの体の不調も自分の力で治せた試しはありません。
そう書くと、
「えっ、スッキリさんに通うようになってから腰痛で悩むことホンマなくなったのに、治してくれてたんちゃうの?」
とおっしゃられたり、
「スッキリさんに通ってから首の痛みが全然なくなったから、やっぱり治してもらってるよ」
などとおっしゃる方もありますが、
「治る」
という定義そのものも曖昧であり、それぞれ人によってどう定義づけているかによって異なります。
初回の施術を受けて、少しでも痛みや不調が緩和されたことを「治った」という方もいらっしゃれば、「あれだけ痛かった腰痛が今は何をしても全く痛くない」という状態を「治った」という方もいらっしゃるでしょう。
ですが、確実に言えることは、当院も含めてどこの整骨院も整体院も鍼灸院もカイロプラクティック院も決して
「治してはいない」
ということです。
「じゃあ整形外科は治してくれるところで、それ以外は治していないってこと?」
とおっしゃる方もありますが、整形外科などあらゆる病院も治しているわけではありません。
一応法律的なことで言っておくと、厳密にいえば「治療」というものは医師もしくは歯科医師以外の人間が行うことはできません。
ですので、「治す」とか「治る」という言葉を我々セラピストは使ってはいけないことになっていますし、「治療」という言葉も医師・歯科医師以外の者が使うと罰せられるというのが日本の法律となります。
実態は異なりますが。
また、いつもたとえ話でこのような話をするのですが、
「もし10針縫わないといけないほどの切り傷をした時に、針も糸も使わないでハンドパワーだけで傷口を塞ぐことができる外科医がいたら、それはその外科医の先生が治していると言えるかも知れません。でもどれだけすごいゴッドハンドであったとしても、針と糸で縫わなければ傷口を塞ぐことなど到底できません。その傷口を治しているのは自分の持っている自然治癒力です」
この「自然治癒力」があるから人間の体は回復するのであって、生きているからこそ成せる業でもあります。
この考え方と同じく、マッサージをしたり、背骨をボキボキと矯正したり、鍼灸をしたり、オイルマッサージをしたり、足つぼを揉んだり、ガチャンガチャンとベッドで矯正したり、気功のように目には見えない訝し気なエネルギーで整体したりと、摩訶不思議な技術も含めて様々な施術法が存在しますが、全て治している訳ではありません。
あくまでその人の持っている「自然治癒力を最大限に引き出してあげること」が全ての施術に共通していることであり、そんな「自然治癒力」を無視した技術などは存在しません。
「この前テニスでふくらはぎ肉ばなれになって、なかなか痛いのが取れないんで、院長のゴッドハンドでなんとか治してもらえませんか?」
と言われました。
「いつ」というのが概ね2週間以内の急性外傷性症状であること
「どこで」というのが自宅やグラウンド・路上や公園などで、仕事中や通勤途中の運転中などではない労災や交通事故ではないこと
「何をして痛めたか」というのが、日頃の疲れの積み重ねなどのようにあやふやでなくはっきり明確であること
さらに整形外科など医師の診断を受けていないものであれば、整骨院・接骨院いわゆる柔道整復師という国家資格取得者の施術を健康保険を使って処置を受けることができるのが健康保険のルールとなります。
そのため、業者さんに
「うちは整骨院ですけど、健康保険は様々な理由があって取り扱っていないんです。交通事故の自賠責保険と労災保険しか扱っていないんで、健康保険証持っていけば一般の整骨院でもれっきとしたケガの処置として健康保険を使った施術を受けられるんで、岸和田の近所の整骨院へでも行かれたらどうですか?うちで受けても他で受けても肉離れですから、ゴッドハンドであろうがなかろうがよほどメチャクチャな施術でも受けない限り、概ね2週間程度で改善されてくると思いますよ」
とお伝えすると、
「ゴッドハンドの整体受けたほうが一発で治るんとちゃうんですか?」
とのこと。
この発想こそ、人間の持っている自然治癒力を全く無視しているからこそ出てくるものであって、これはまるで
「太った原因はポテチの食べ過ぎなのは分かっているんです。でもポテチを止めることはできないからなんとか耳つぼだけですぐに痩せさせて」
と言っているようなもので、根本的な原因となっているものをどうにかしない限り、どれだけ素晴らしい技術を提供したところで何ともならないんです。
「でも泉佐野にあるあそこの整骨院は芸能人が通ったこともあるゴッドハンドって雑誌やホームページに載ってるけど」
とか
「泉州地域で配布されている冊子にゴッドハンド整骨院特集ってあそこの整骨院掲載されているやん」
などというように、以前のブログにも書きましたが、ゴッドハンドになろうと思えば広告料さえ惜しまなければいくらでも可能となります。
皆さんが考える「ゴッドハンド」とは、人間の本来持っている「自然治癒力」を全く無視してでも痛みや体の不調が一瞬にして取れてなくなることと考えておられたり、はたまた有名人や一流アスリートが通っている?ことになっている治療院を「ゴッドハンド」と解釈しているのか分かりませんが、自分なりの「ゴッドハンド」という定義は、
①腰痛や肩こりの原因となっているのはどこに問題があるからなのか?
②そしてその体の不調を解消するためにはどのくらいの期間と回数を受ける必要があるのか?
③疑問や不安に思うことに対して的確に回答してもらえ、適切なアドバイスをしてもらえるかどうか?
④そして何よりもあなたにとって信頼できるかどうか?
こういったところが備わっている治療家をいわゆる「ゴッドハンド」と言うのでしょうね。
YouTubeなどの動画で、よくボキボキっと勢いよく首や腰を鳴らしてもらっているユーチューバーの方の動画などを見かけることがありますが、

赤丸で囲んでいるとおり、これは損害保険会社の医療賠償保険に書かれている主な免責事項を抜粋したものとなります。
「頚椎に対してのスラスト行為に起因する損害賠償責任」
と書かれておりますが、要するに首を捻ってボキボキと鳴らす行為によってケガをさせてしまったものには保険金は対象外となるということが書かれています。
これを見てふと思ったのが、
「首はアカンけど腰とか背中はボキボキして痛めても免責ちゃうんやな」
ということで、腰や背中をボキボキ鳴らしてもらって、かえってひどい痛みに見舞われた方は医療賠償保険を請求できるかも知れませんね。
あなたが通っている整骨院や整体院では、頚椎や腰椎をボキボキと鳴らして矯正してくれているかも知れませんが、上記に挙げた「信頼できるかどうか?」が大きなポイントとなります。
セラピストも受ける側もお互いに信頼関係のもとでボキボキと矯正してもらっているのであれば、例えボキボキと矯正してもらったことが原因で痛みがひどくなったり症状が悪化したり、最悪半身まひなどのような被害に遭われたとしても文句を言うべきではありません。それが「信頼関係」というものだからです。
ですが、首をボキボキと鳴らす矯正が医療賠償保険の免責事項であることを知らなかった方はお気をつけ下さい。
当院ではそんなリスクを負ってまでしてボキボキ矯正をする意味がないため、ご提供しておりません。