整体と検索すると・・・

ここ最近、当院にインターネットを通じて来院される方の検索方法として「整体」という文言で検索される方もありますし、「整骨院」という文言で検索される方もありますが、最も多く誤解されがちなのが、
整骨院=整体を提供しているところ
というものです。
それだけ整骨院整体院の違いをあまり気にされていない方が多いような気がしますが、それぞれ異なる部分もあるため、整骨院整体院について書いてみたいと思います。

整体」とインターネットで検索してみると、関連してくるものに、
整体 整骨院の違い
整体 資格
整体 保険適用
整体 効果
整体 マッサージ 違い
などが出てきたりしますが、これらで検索されているということは、一つ一つ何のために調べているのかはひとそれぞれ理由は異なるかも知れませんが、それぞれについて書いてみたいと思います。

整体」と「整骨院」の違いにはいくつかの違いがあります。
ただし、「整体」とは体に何らかしらの影響を及ぼす技術そのものであるため、ここでは「整体院」と「整骨院」の違いが何なのかを挙げてみたいと思います。
整体院」とは、国家資格者が開業している治療院である必要性はなく、あくまで民間資格者のため、厳密に言うと国家資格などは一切必要がありません。ですので特に資格などを取得しなくてもすぐに開業することも可能なため、非常にハードルが低いと言えば低いです。
ですが、解剖学生理学など全く医学的な知識も経験もないままで開業するのは、まるで一度も自動車を運転したこともなければ免許証も取得していないにも関わらず運転するようなもので、大変危険ですし無謀な行為です。
ですので、医学的な知識に加えて長年の施術経験を兼ね備えて開業される整体師の方もいらっしゃるため、ピンキリとなります。
また、最近では柔道整復師鍼灸師理学療法士などの国家資格を取得されているものの、健康保険をはじめ一切の保険診療を取り扱わないという立場からあえて「整体院」と看板を掲げて日々施術をされている方々もあったりします。

それに対して「整骨院」と「接骨院」は書いている文字こそ違えど同じで、「柔道整復師」という国家資格を3年ほどかけて大学もしくは専門学校を卒業して国家試験に合格してはじめて取得した者が開設できることとなっています。
ではその国家資格を活かしてできる技術提供を挙げると、急性外傷性の骨折脱臼を固定したり整復したりして応急処置をした後、すぐに整形外科など病院へ行ってもらいレントゲンなど精密検査により診断を受けてもらうように促すことです。その後、医師の指示のもと骨折脱臼の整復や固定などの処置をする場合もあります。
ほとんどの骨折や脱臼は、整骨院接骨院で応急処置はすれど、病院へ行くよう促すとほとんどの方はそのまま病院で継続して治療を受けるため、その後のリハビリとして整骨院を利用されるという方もあるかも知れません。
その他、打撲捻挫挫傷いわゆる肉離れによるケガの処置を健康保険を適用して施すことができるのが整骨院接骨院の役割となります。
ここでよく言われるのが
整骨院へ行ったらマッサージしてくれた
とか、
接骨院で骨盤矯正してもらった
など、整骨院・接骨院でいわゆる整体を受けているというもの。
整骨院・接骨院健康保険の対象として取り扱うことができるのは上記にも書いているとおり、急性外傷性の骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷に対する処置に限られています。
ですので、整骨院接骨院骨盤矯正マッサージのような整体をしてもらったというものは、整骨院・接骨院での柔道整復師の資格によって提供しているものではありません。あくまで「整体」です。
そのため、健康保険の適用とはなりません。全て自費となります。

整骨院接骨院を開業する上で国家資格を取得するために通う専門学校や大学では、マッサージや背骨や骨盤をボキボキと鳴らす矯正のような技術は一切学ぶことはありません。あくまで骨折脱臼の応急処置の方法を学ぶのみとなります。

ここまで書くと、上記の「整体」に組み合わせた〇〇についてほとんど回答となっているでしょうが、「整体」と「マッサージ」の違いというのが一体何なのかが疑問となるでしょう。

整体」とは、体に何らしらの刺激を加えることで体のバランスが整い、結果として腰痛や肩こりなどの筋骨格系のトラブルが解消されたりして体の不調が改善されることを言います。
ということは、「マッサージ」も体に刺激を与えることによって腰痛肩こりが緩和されれば結局のところ「整体」ということになります。
ですので「整体院」と看板を掲げている治療院に行っても、ボキボキと背骨を鳴らすようなところもあれば全身マッサージのように揉み解してくれるところもあったりするのです。

ここで「マッサージ」と聞くと、もうすでにマッサージというものが一般化しているようなものですので、
親の肩こりをマッサージして揉んであげた
というように一般的に使われることもありますが、実のところ「マッサージ」という文言を使うことができてマッサージという技術を提供しても良いのは「あんまマッサージ指圧師」という国家資格を持っている人に限られます

よくスーパー銭湯や国道沿いで見かけるいわゆるもみほぐし屋さんの看板には「あんま」「マッサージ」「指圧」という文言は一切謳われていません。
なぜなら「あんまマッサージ指圧師」でなければこういった文言を書くことができないためです。
そのため、国家資格も特別取得する必要もありません。

ホテルや旅館へ宿泊した際にメニュー表を見かけますが、あのメニュー表には「マッサージ〇〇分〇〇円」と書かれているので、おそらく専属のあんまマッサージ指圧師の国家資格取得者が技術を提供しているのでしょう。

このように国家資格とか民間資格とか様々な棲み分けがあって類似した業種が混じっているのがこの業界となるため、
なんで健康保険を適用してくれる整骨院と適用してくれない整骨院があるの?
というご質問をよく頂きますが、上記内容でおおよそ疑問が解消されるかと思います。

ところで、「あんまマッサージ指圧師」以外の者が「あんま」「マッサージ」「指圧」という文言を使うこともできなければ技術そのものも提供できないにも関わらず、なぜだか「タイ古式マッサージ」という看板を目にすることがよくあります。
タイ古式」がついていれば「マッサージ」という言葉が使えるのはなんだかモヤモヤとした疑問を感じますが、一度も利用したことがないため、利用したことがある方がいらっしゃれば、また聞いてみたいと思います。