先日、貝塚市から来院されている方とのやり取りでこのようなやり取りがあったのでご紹介します。
「私最近歩行に関する本を読んで、昔は歩き方って足を踵から小指側に体重移動して最後に母趾側で蹴って歩くのが一般的な歩行の仕方って言われてたけど、その本には足裏全体に体重を乗せるような歩き方のほうが適しているって書いてたけど、ホンマですか?」
とご質問されました。
正直その本を自分自身が読んだわけではないため、
「分かりません、でもその歩き方に変えてみて体の調子がよろしければその歩き方を続けてみたらどうですか?もし続けていて足底筋膜炎とかモートン病など足裏の不調や膝痛や股関節痛などが出るようであればすぐに止めたほうがいいでしょうね」
とお伝えしました。
以前は良かれという考え方が当たり前だったことでも今は全く真逆のことってよくありがちなことです。
例えば「うさぎ跳び」。
1972年あたりまでは脚力強化には欠かせないトレーニングの一つでしたが、今はうさぎ跳びは膝関節を痛めてしまう最大の要因となっているため、うさぎ跳びをトレーニングメニューとして取り入れているスポーツ選手はほぼいないのではないでしょうか?
ぎりぎりのラインでうさぎ跳びをしなかった世代ですが、うさぎ跳びの歴史は古く、戦前の学校教育や戦時中の軍隊訓練にも導入されていたそうです。
先日、貝塚市からお越しの20代の方にうさぎ跳びの話をすると、
「えっ、うさぎ跳びって何?」
とおっしゃられたため、知らない世代のほうが段々と増えつつあるようです。
見たこともないという方のために、このような膝を曲げた状態で手を後ろで組み、それこそうさぎのようにピョンピョンと飛んで前進していくものですが、実際は膝を曲げたままの状態で前に飛ぶ動作は様々なスポーツの中でも現実的に使わない動作のため、運動学としては理にかなっていません。
また、曲げ続けたままで飛び続けると、腓骨の疲労骨折となったり、膝蓋軟骨や半月板などの軟骨損傷となってしまったり、オスグッドや靱帯損傷を引き起こしてしまい、メリットよりもデメリットのほうが大きいということで、うさぎ跳びをしている光景を見なくなりました。
ですが文科省の学習指導要領では、うさぎ跳びは奨励も禁止もしたことがないそうです。
関西学院大学時代に体育会ボクシング部に所属しておりましたが、当時関学黄金期と言われた時代にご活躍されておられたOBの方々から
「お前らは練習中に水ばっかり飲んでるからすぐバテるんや。練習中は水を飲むな」
とか、
「甲東園の駅から大学までの距離をうさぎ跳びしながら通学しろ」
というような指導を受けてきました。
「そんなことやってられない」
と思い、指導され口だけはイエスと言いながらも行動としてはこまめに水分補給をしながらトレーニングしていました。
一昔前には運動中に水を飲むとバテるから飲
んではいけないというのが当たり前でしたが、今ではこれは全くの間違いで、運動中に水を飲まないと体温が上昇し続
けて疲労が早く起こることが明らかになっています。
とある実験によると、運動すると筋肉でエネル
ギーが発生するが、このうち運動に使わ
れたのはわずか16%で残り84%は熱に変わっていたそうです 。
発生した膨大な熱が体内に溜まるのを防ぐのが
汗をかくことにより気化熱を奪うことで、汗で失
われる水分を補ってやらないと、悪くすると熱中症の症状が出たりします。
米軍が戦争中に行軍のために行った実験によると
、歩いている時に自由に水を飲ませると脱水量の
3分の2程度しか飲んでいず運動後半に体温上昇があったが、発汗量と同じだけの水分を強制的に飲
ませると最後まで体温上昇が起こらなかったそうです。
別の実験では発汗量は運動1時間・体重1キロ当たり
で約5gというから、体重60キロの人が8時間運動したときには2.4リットルの脱水が起こり、それと同量の水を飲むにはかなり意識的に多めに飲む必要があることになります。
このように昔は当たり前に正しいとされていたことが、様々な研究が進むにつれて今では全く真逆のことを言っているなどということはよくある話です。
腹筋についても同様に、以前は当たり前のようにされてきたのですが、最近では米軍のトレーニングのうち腹筋運動は腰痛の原因となるため、今では代わりに「プランク」によって腹筋を鍛えることになっているようです。
ただし、プランクであってもやり方を間違えると腰痛やぎっくり腰の原因となってしまう場合もあるため注意が必要となります。
肘をしっかりと立て、腰が浮いたり沈んだりしないように体幹が真っすぐになるようにしなければなりません。
本や雑誌をはじめ、YouTube動画など様々な情報によって様々な運動法やストレッチ法、体操などが紹介されており、自分はどの運動をすれば良いか迷うことも多々あるかと思います。
まずは試してみて1週間もすれば体に合っているのかどうかが掴めるようになります。
もし1週間ほどして急に腰痛や肩こりなど体の不調を感じたり、なんだか体の疲労感が取れにくかったりといったことが起きるようであれば、その体操や運動はしないほうが良いということです。
運動を続けてみて体調が良く感じられるようであれば、あとは継続することが大切です。
1回2回何かしら体操をしただけですぐに効果がでることなどありえません。
しっかりと継続して毎日息をするように無意識のうちに体操やストレッチが出来ていれば、必ず腰痛や肩こりの予防へと繋がります。