朝起きたら手が開かない

貝塚駅前のスッキリ整骨院です。

今回は阪南市からお越しの方についてお話しますね。
朝起きたら手が開かない
とのこと。

当院に来院されたきっかけは、元々は肩こり 頭痛坐骨神経痛でした。
重い荷物を持ち上げようとして腰を痛めてからだんだんと腰痛がひどくなり、ついには夜も疼いて寝られないほどのひどい坐骨神経痛となってしまい、阪南市から岸和田方面にかけてどこか骨盤矯正をしてもらえる整骨院がないかと探されて、ダイエットも気になっておられるとのことで、院長がボクシング経験者であれば、効果的なダイエット方法などもアドバイスもらえるかもということで来院されました。

夜になって疼くような坐骨神経痛症状はすっかり解消されたものの、夏の暑さと通院距離を天秤にかけた時に、つい夏の暑さを取ってしまい、予防のために骨盤矯正に通院することを途中で止めてしまわれていました。

夜も寝られないほどの坐骨神経痛から解放されたので良かったのですが、今度は小さなお孫さんを抱っこしようとしてぎっくり腰を発症したかと思ったら、坐骨神経痛が再発し、初めて来院された時よりも悪化しているような状態となってしまっていました。

そこでしばらくはまた以前のように阪南市から45分以上かけて通院され、わずか20分の整体でまた45分以上かけて帰られることを繰り返し、ようやく坐骨神経痛も解消されてきたかと思って油断してしまわれたのか、今度は
膝が痛い
とのことで、ダイエットのためにスクワットを始めたそうで、それが仇となって膝関節に痛みが出てきて仕事も辛い状態に。

そこで、ダイエット効果的で尚且つ膝を痛めないように、スクワット方法をアドバイスして取り組んでもらい、ようやく膝も不調のない状態にまで回復されてきて喜ばれていた矢先、ご予約日でないにも関わらず急に電話がかかってきて、手が動かせない状態となっているということで急遽来院されました。

前日の夜にソファで寝転びながら、マッサージするボールのようなものを左肘の後ろあたりに置いた状態でそのまま無意識に寝てしまっていたとのことで、よほどお疲れだったのか、全くその状態のままでずっと寝てしまわれていたそうで、気がついたら朝までそのまま左上腕三頭筋いわゆる二の腕をボールが圧迫し続けていたため、朝起きてから全く手を開いたり上に上げたりすることができない状態となっていました。

上腕三頭筋とはコレ。

上腕三頭筋は、上腕二頭筋いわゆる力こぶの反対側にある筋肉で、3つの頭に分かれているため、三頭筋と呼びますが、この筋肉のちょうど中の方に橈骨神経がこのように通っています。

このように通っている橈骨神経マッサージボールで圧迫し続けたことで、どうやら橈骨神経麻痺を起こしたようでした。

『朝から手が動かなくて、脳梗塞なんかな!?って思ったけど、別にろれつが回らないとか言葉が出てこないとか痺れがあるとかひどい頭痛がするとか脳梗塞の時に起きる他の何かしらの症状とかは全然なくって。でも先に病院行ってから、何も心配いらんかったらスッキリさんでお世話になる』
とのことで、午前中に整形外科で診てもらってから当院に来院されました。
整形外科では問診のみでレントゲンなどの精密検査はなく、また整形外科医からのこれといった説明はほとんどなく、
『心配いらん。よくあることやから2週間~3週間で治る。とりあえず神経のお薬出しとくから』
とだけ言われ、その後当院に来院されました。

診てみると、

このように握る動作いわゆるグーをすることは全然大丈夫とのことで、阪南市から自動車でハンドルをどうやって握って当院まで来院されたのか疑問に思っていましたが、握る動作は全く問題なし。

次に開く動作いわゆるパーをしてもらうと、

これが思うように開かず、全開に手のひらを開くことができないようでした。
そしてさらにできない動きがコレ。

この状態から手の甲を上に上げる動作つまり背屈が全くできない状態となっていました。
このような橈骨神経麻痺によって生じる特徴的な手の状態を『下垂手』(かすいしゅ)と言います。

腕を通る神経には大きく3つの神経に分類することができます。
一つは、この橈骨神経
そしてもう一つは尺骨神経(しゃっこつしんけい)
さらにもう一つは正中神経(せいちゅうしんけい)

それぞれの神経が麻痺することによって生じる病的な手の特徴があり、尺骨神経が麻痺すると鷲手(わしで)という鳥の鷲の手のような形になることからそのように名付けられています。
鷲手というのはこのような手の状態。

この尺骨神経が麻痺を起こしているかどうかを調べるテスト法に、このように紙を両手で引っ張らせる動作をさせるテスト法があります。

この時にうまく握って引っ張ることができなければ尺骨神経麻痺の疑いがありますが、この動作は全く問題なく引っ張ることができる状態でした。


正中神経麻痺によって生じるのが猿手
猿の手のように見えるからそのように名付けられていますが、このような状態。

この正中神経が手首の手根管で神経を圧迫して手のひらが痺れるのを手根管症候群と言います。
これもよく患われている方が多くいらっしゃいます。


橈骨神経麻痺は別名として
ハネムーン症候群
とか
サタデーナイト症候群
などと言われています。

これは、新婚さんがラブラブで腕枕をし続けて寝ていて、朝起きたら橈骨神経が麻痺していたという状態からハネムーン症候群と言われたり、また平日仕事で忙しくしていて、土曜日の夜についうたた寝をしてしまい、朝起きたら自分で自分の腕を下に敷いたまま圧迫し続けて寝てしまって橈骨神経麻痺をしていたという状態からサタデーナイト症候群などと呼ばれています。

その他、病院で打ってもらった注射によって橈骨神経に当たり、麻痺を起こすこともありますし、上腕骨の骨折などによる後遺症として麻痺することもあります。

今回は注射したり、骨折の後遺症などではなく、マッサージボールによる圧迫を受け続けたことが原因で橈骨神経麻痺を起こしましたが、簡単に言えば正座をして足が痺れたのと同様に、しばらくなんだかんだと動かしているとそのうち解消されてくるため、これからは気をつけて過ごされることでしょう。