ド・ケルバンって!?やっぱり人!?

昨日のラグビーワールドカップ日本代表の勝利はとても素晴らしかったです。
ロシアの強烈なタックルも凄かったですが、それにも負けない日本の力強さに今後の活躍を期待しています。
今晩はニュージーランド南アフリカ。これも絶対見逃せないカードです。
台風が近づいており、おそらく雨の中での試合となりそうですが、テレビでじっくり観戦したいと思います。


さて、ここ最近は女性の方はお仕事されていらっしゃる方も多く、また女性であっても体力仕事をされていらっしゃる方もとても多いため、手や指先トラブルを大変よく見かけます。
ばね指などとも呼ばれる腱鞘炎、手首で正中神経が圧迫される手根管症候群尺骨神経が圧迫されるギヨン管症候群などと呼ばれている手首の神経の通り道でのトラブル、第一関節の変形であるヘバーデン結節や第二関節の変形であるブシャール結節の様な指先の変形、はたまたリウマチなどによる指先の変形などなど、色々な手指のトラブルが挙げられますが、手指のトラブルは男性よりも女性の方が圧倒的に多いです。

そこで今回は貝塚市からお越しの方についてお話しますね。
仕事柄、手を使うことが多くて、ここ最近腰痛と肩の痛みはましになってるけど、親指の付け根あたりが痛くて辛い
とのこと。
貝塚市内のスーパーにパートでお勤めのため、ペットボトルの入ったダンボールケースやおの袋などをたくさん運んで陳列することが多く、それを何度も繰り返して運んで移動させたりするため、肩から指先にかけて痛くなったりすることも頻繁にあるそうです。

当院に来院されたきっかけは『腰の捻挫
お仕事中にダンボール箱を持ち上げようとしたときに捻って痛めたことがきっかけで来院されましたが、痛めた当初は仕事中だったため、負傷現場を職場の上司が直接目撃していたことが幸いして、『労働災害扱い』として労災保険を使っての通院でした。
労働災害は職場が認めてくれないことがしばしばあり、本来であれば労災扱いであるはずのものが認められず、しぶしぶ自己責任で整骨院に通われる方もいらっしゃいますが、労働災害かどうかのポイントは、『証人となってもらえる上司がいるかどうか』がポイントとなります。
さすがにスーパーなどのお店の店長さんなどは経営陣のため、労働災害扱いとすることは困難かも知れませんが、仕事中の怪我通勤途中の怪我などの治療のために整骨院へ通院するには労災扱いとなります。
当院では健康保険は取扱しませんが、労災保険は取り扱います。
仕事中の怪我などでお困りの方はぜひご相談下さい。


労災扱いで通院され、数回の施術で2週間ほどの期間で腰の痛みは解消されたため、労災保険での施術は終了したものの、仕事柄重い荷物を担いだりして肩が痛くなったり腰が痛くなったりと、痛む場所もその時々で日替わり弁当のようにあちこち変わったりするため、今はひどい痛みにならないよう、また痛めにくいカラダづくりのために定期的なメンテナンスに通われています。
特に腰を痛める機会は多いため、仕事中はコルセット着用は必須でお願いしております。

ですが、今回は親指の付け根の痛み
診てみると、

やや腫脹あり、またこのように親指を握りこんで手首を下に動かして丸で囲んだ部分を伸ばすように動かしてもらうと激痛が走るとのこと。
いわゆる『ド・ケルバン病』または『ド・ケルバン腱鞘炎』と言われるもののようでした。
ド・ケルバン!?って変わってる~、もしかしてド・ケルバンさんって人が名付けた?
と非常に勘の鋭いご質問を頂きましたが、まさにその通りで、スイスのお医者さんであるド・ケルバンさんがつけた病名だからこのような名前になっています。

ド・ケルバン病とは、腱鞘炎の一種で、長母指外転筋の腱と短母指伸筋の腱が腱鞘炎を起こしているもので、やはり20代~50代の女性に多く見られるという報告があります。
長母指外転筋というのはこちら。

長いという文字が付いているだけあって、前腕部分から親指に伸びている長い筋肉で、ちょうど親指をパーっと大きく開くときに使われる筋肉です。

そして短母指伸筋がこちら。

親指の第一関節をちょうどイエーイのようにするのが長母指伸筋

それに対して短母指伸筋というだけあって、親指の第二関節を伸ばす筋肉。

この二つの筋肉の腱鞘の部分で炎症反応を生じるものをこのように名づけていますが、代表的なテスト法としてFinkelstein(フィンケルスタイン)テストという徒手検査法があります。

このように親指を中に握って長母指外転筋短母指伸筋ストレッチした際に痛みが出るようであれば、整形外科でそのような診断を下される可能性が高いです。
ド・ケルバン腱鞘炎はこのように本来の働きとは逆方向に筋肉が伸ばされたときに痛みが現れるため、スーパーでお勤めの方はもちろんのこと、子育て中のママさんや手をよく使われる方に発症することが非常に多く見られます。

ですので、仕事に支障がないようであれば手首を保護するためのサポーターなどによってある程度負担をかけないように普段から気をつけることも大切です。
子育て中のママさんも産後骨盤矯正に来院される際に、このド・ケルバン病で痛みを伴って来院される方もありますが、ひどいケースではサポーターの着用を促しております。

このように手首をサポーターで保護しておられましたが、理想的なのは親指を保護してくれるようなタイプのサポーターのほうが良いでしょう。
ですがお持ちでなければ最低限手首を保護するサポーターを着用されることも一つです。

保護している部位が異なっているのが画像でひと目で分かるかと思いますが、ド・ケルバン専用のサポーターは親指そのものがガッチリ固定されるようになっています。

あらかじめ痛めないようにこういったサポーターなどで固定することも予防のためには一つですが、やはり手指を痛めてしまうのも身体の使い方に問題があって生じることが多いため、手や肩が痛くなるような方は骨盤背骨の柔軟性に欠けていたり、バランスを崩して左右差を生じていたりして正しく機能していないことがよくあります。
ですので、手の腱鞘炎や手指のトラブルであってもそのトラブルを生じている部位だけを診るのではなく、骨盤背骨のバランスを整えることをベースにしながら、手指も調整することが大切です。