大腿骨骨折とルドルフ徴候陽性

昨日と水曜日の夕方以降の2日間急ではありましたがお休み頂きました。
ご予約頂いた皆様には大変ご迷惑おかけしましたこと深くお詫び申し上げます。

というのも水曜日に祖母が他界しました。
98歳でしたが早朝の4時過ぎに息を引き取ったようでした。

先週の日曜日にちょうど泉南市老人ホームに入所している祖母の見舞いに顔を出したばかりで、それほど変わった様子もなかったのですが、突然の訃報を受け驚きと悲しみを隠せませんでした。

元々親の代までは愛媛県だったため、祖母が70代後半いわゆる後期高齢に差し掛かった時に三叉神経痛の手術など大阪で受ける機会があり、それから大阪で両親と同居することとなりましたが、知らない地で知り合いや友人もなく、またコミュニティの場へ自分自身積極的に足を運ぶような性格でもなかったため、ほぼ自宅でテレビを見ているか雑誌を見ているかで過ごしていました。

当然、体をほとんど動かさないため足腰が弱るのも早く、せめて歩いて整骨院にでも通ってもらえたらということも理由の一つで14年前に泉南市に開業しました。
祖母が生前よく口にしていたのが
お前が家の近くに整骨院開いてくれたら毎日のように通うのにな
という言葉。

ですが実家から歩いて10分もかからない距離に開業したにも関わらず、結局父に無理やり自動車に乗せられ面倒そうに通う姿しか見ることなく、結局通院することもまばらとなり、やはり自宅でテレビばかりを見ている生活となっていました。

体を動かさないため、また日中にウトウトと昼寝をするため夜にはなかなか眠れず、睡眠障害となり睡眠薬に頼る毎日でしたが、1錠飲んでも効かず、2錠飲んでも効かず、3錠飲みだしたところで副作用めまいによる転倒がきっかけで、左大腿骨頸部骨折を80代前半で患い、大腿骨頭置換術の手術を受けたものの、今までがずっと運動もせずに生活していたため、寝たきりにならないようリハビリをしっかりするよう指導されていたものの、手術痕が痛くて余計に動かなくなり、その1年後には再度ベッドから滑り落ちるように転倒し、右大腿骨骨折をわずらい、すでに歩行不可と見なされたようで大腿骨を2本のボルト固定での手術となりました。

それがきっかけで特別養護老人ホームへ入所してから10年近くでした。
入所した当初は口にする言葉が
早く死にたい
顔が手術したのに痛い
足の手術したところが痛い
この3つが口癖でしたが、1年ほど前からはほとんど口にすることもなくなり、時には少しボケたような発言があった時期もありましたが、ようやく14年前に泉南市整骨院を開業した年に他界した祖父の元へ行くことができました。

泉南市の火葬場が昨年とてもきれいに作られ、見事な火葬場となっていたため、亡くなった祖母にとってもよかったと思います。
火葬場で骨を拾う際、よく『のど仏』を拾いますが、これよく勘違いされている方が多いですが、
これではありません。


これは甲状軟骨で火葬した時には焼けて跡形もありません。
お骨の際に拾い上げるのど仏はこれ。

第二頚椎のことです。

第二頚椎は軸椎とも言われており、この骨を軸として頸の回旋運動ができるようになっています。
ちょうどほとけさんがあぐらをかいて座っているように見えることからそう名付けられています。
こののど仏がきれいにちゃんとした形で残っていれば生前良い行いをしたと言われていますが、祖母ののど仏はやや崩れていたため・・・。
子供の頃からよく戦時中の話など昔話をよくしてくれたため、とても大好きな祖母を亡くしましたが、亡くなる直前までほとんど苦しむことなく息を引き取ったそうですので大往生でした。


さて、大腿骨骨折は男性よりも女性に多く発症する骨折の一つですが、大腿骨骨折の疑いがある場合に鑑別する方法として
ルドルフ徴候
または
ルドルフテスト
という調べ方があります。

椅子に座らせた状態で膝を高く上にあげてもらうことができなければ、大腿骨骨折をしている可能性があるというものです。
自分自身でも経験したことがある下肢の骨折ですが、骨折しても場所によっては痛みを伴わないことがあります。
以前高齢者の方で整骨院の隣の薬局の待合椅子で転倒し、そのまま歩けないからと担いで整骨院まで戻り、このルドルフ徴候が陽性反応を示したため、
骨折している疑いがあるためすぐに整形外科でレントゲン撮ってもらって下さい
と伝えると、
動かれへんだけで痛くもなんともないから骨折しているはずがない
と頑なに拒まれ、家族の方を説得して病院で診てもらってやはり骨折だったということがありました。

大腿骨骨折は高齢者の代表的な骨折ですが、女性に多い理由は
➀男性に比べ筋力が弱いから

②出産によってカルシウムを大幅に失うから

③閉経によるホルモンバランスからカルシウムが失われるから

④頚体角が男性よりもより直角に近いから

頚体角とは

この角度のこと。

また男性よりも女性のほうが平均寿命が長いため、自ずと転倒による骨折のリスクは高まります。
男性の骨粗鬆症は80代あたりから進行すると言われていますが、平均寿命も82歳のため大腿骨骨折をするまでに寿命が尽きるということも男性に少ない理由の一つとなります。

大腿骨は骨頭部分に大きな血管が通っており、そこからの血液供給により骨に栄養が行き届いているのですが、骨折するとこの動脈からの栄養が寸断されるためなかなか癒合が進まないので人工骨に置換する手術をすることが多いです。
この人工骨が15年ほどは体重を支えることができるようですが、それ以上経過すると再手術によって人工骨を入れ替える必要があるようです。

何せ骨折すると大変です。
しっかりと脚力をつけて転倒リスクを下げることが予防の第一歩となります。