貝塚市で完全に健康保険診療を受け付けなくなってから8年が経ちました。




それ以前は複数スタッフを雇用していたこともあり、また
「整骨院は健康保険を使わないと誰も通院しれくれないところ」
「整骨院は患部を温めたり低周波など当ててマッサージをするところ」
とばかり信じていましたが、もはや整骨院で健康保険が適用されなければ通院されないのは飛び込みで来院される方のみとなりました。そして低周波などの機器に頼ることもなくなりましたし、患部にばかり気を取られて痛いところだけ集中的にマッサージするようなことも全くなくなりました。
そんな中でも整骨院・接骨院へ通院されるきっかけとなるものの一つに
「ぎっくり腰」
が挙げられます。

一般的には、整骨院・接骨院は
「ぎっくり腰を治してもらうところ」
と考える方が多いのではないでしょうか?
そして痛くてたまらない腰をしっかりと揉んでもらった施術後にはかえって痛みが増して余計に動けなくなったという経験をされた方からよく聞くのが
「もう二度と整骨院へは行かない」
というお言葉。
たまたま通院された整骨院の施術方針に合わなかっただけで、日本にあるすべての整骨院がそうとは限りません。
ですが、そういうイメージを持たれている方ももしかしたら多いかも知れません。
先日から娘さんのご紹介で当院にお越し頂いている貝塚市にお住いの方も、以前は仕事をされておりぎっくり腰になることが頻繫にあり、ご自宅近くの整骨院へ通院されていたそうです。
ですがその整骨院ではうつ伏せで背中の上に馬乗りになって背骨の両脇の筋肉を上からギュウギュウと結構な強さで押してくれていたそうで、その後急に胸が痛くなってきたため病院でレントゲンを撮ってもらったら
「肋骨骨折」
と診断され、それからというもの
「整骨院は痛いから通っているのに、通ったら余計痛いことをされる」
と判断され
「もう二度と整骨院へは通わない」
と言いながら整形外科で湿布と痛み止めのお薬をもらってぎっくり腰をごまかしごまかし生活されているうちに、ゴミ出しに外に出られた際に溝に転倒してしまい、腰椎の圧迫骨折を患われてしまいました。
その後も整形外科へ通院していたものの、お仕事は退職されたため腰の負担も減りぎっくり腰にはならなくなったものの、圧迫骨折後のしぶとい腰痛から杖を持って歩いても体が痛みをかばっているうちに傾いてくるのが自分自身でも顕著に分かっておられ、娘さんのあれだけ痛がっていた五十肩の痛みが解消されていることからご紹介で当院へ来院されました。
圧迫骨折と聞くとその名の通り圧迫されてしまって生じる骨折であり、最も骨折しやすいところは胸椎と腰椎の境界線のちょうど背骨のカーブが切り替わる胸腰椎移行部あたりで圧迫骨折を生じることが最も多いです。

人間の体は横から見た時に生理的彎曲と言って、頸椎は前彎、胸椎後彎、腰椎前彎、仙骨後彎というように前後にカーブを作ることで頭を支えています。
ですがこの腰椎の前彎しているカーブが前かがみになったりして後彎になると椎体の前面に圧迫力が加わり、結果椎体の前方が圧迫骨折を起こします。
圧迫骨折を生じたときの初期症状はまるでぎっくり腰のような激痛が走ったりすることが多いです。
ですが、今までの臨床上でも年齢が60代あたりまでは重い荷物を持って急に腰が痛くなったりしたときは、ぎっくり腰で間違いないだろうと推測できますが、70代以上の方が重い荷物を持ったときや、はたまたくしゃみしたり前かがみになったりして急に腰に激痛が走ったりするようなことがあれば、単なるぎっくり腰ではなく背骨の圧迫骨折も同時に疑います。
特に男性よりも女性のほうがホルモンや出産などの影響で骨粗しょう症が進行しているケースが多く、例え重い荷物を持ち上げたような行動によって腰が痛くなったのでなくても、なかなかしぶとい腰痛が解消されないようであれば整形外科など病院でレントゲンを撮ってもらうことで圧迫骨折をしていないかどうかを診断してもらうほうが良いでしょう。
ですが受傷直後の場合、レントゲンなど精密検査をしても骨折しているかどうか不明なことも稀にあります。
以前当院に来院されていた70代の女性の方で、もともとは肩こりで通院されていたのですが、当院へ来院途中で自転車で転倒され、地面に尻もちをついて転倒されたとのことで、すぐに病院でレントゲンを撮ってもらいに行ってもらったところ
「骨に異常なし」
と診断され、単なる腰椎の捻挫ということで当院で施術していたものの、2週間経過しても全く痛みが取れていく気配がなかったため、再度違う整形外科でレントゲンを撮ってもらうよう依頼したところ
「第一腰椎圧迫骨折」
と診断された方もいらっしゃいます。
受傷直後すぐにはレントゲンでは発見されなかった圧迫骨折が、2週間して再度レントゲンを撮ってもらったところ見つかるケースもあったりします。
ですので、高齢者の方のぎっくり腰のような症状には注意が必要です。
例え重い荷物を持ったわけでもないし、くしゃみしただけなのにも関わらず腰が急に痛くなったから単なるぎっくり腰という風に安易に捉えず、念のために精密検査も同時に受診されることをおススメします。

昨年もちょうど年末に、当院に来院されている方のお父様がお仕事中に急に腰が痛くなって整形外科でレントゲンを撮ってもらったところ
「異常なし」
と診断され、近所の整体院へ整体を数回受けに通われておられたものの、一向に痛みが緩和されないため当院に転院されて施術させて頂いたところ、全く緩和されるどころか日を追うごとに痛みがひどくなっているようでしたので、再度違う病院でレントゲンを撮ってもらうよう依頼したところ
「腰椎圧迫骨折」
と診断されたケースもあります。
ですので高齢者特に70代以上の方は男性女性問わず、ぎっくり腰のような急な腰痛に見舞われたときは安易に整骨院や整体院へ通院するよりもまずは整形外科など病院で精密検査を受けられて骨に異常がないかどうかを確認してもらってから整骨院や整体院で整体を受けるほうが賢明です。
単なるぎっくり腰など、骨に異常を伴わない腰痛の場合、何ら整体など体をケアすることなく無理をしなければ普通は二週間も経過すれば少しは緩和されてくるはずです。
当院でも整形外科で異常なしと言われた場合であっても、整体をはじめて2週間経過しても緩和も解消もされてこないようであればセカンドオピニオンで他の病院で再度精密検査を受けて頂くことを依頼しております。
高齢者の場合は些細な動きでも骨折していることがあったりします。
ですので単なるぎっくり腰と片付けてしまわないよう注意する必要があります。
当院ではもちろんぎっくり腰や圧迫骨折後のしぶとい腰痛に対してソフトな整体によって痛みを緩和・解消するお手伝いをしておりますが、その一歩先である
「ぎっくり腰や圧迫骨折を二度と繰り返さない再発予防のための体作り」
を目指した整体をご提供しております。
ぎっくり腰も圧迫骨折も受傷する際の状態は非常によく似ています。
例えば
「下にある荷物を持ち上げようとして・・・」
「靴下を履こうとして前かがみになった時に・・・」
「くしゃみした拍子に・・・」
などと、腰椎の前彎が崩れ後彎となっている時に生じるケースが非常に多いです。

ですので、ぎっくり腰や圧迫骨折を繰り返さないようにするためには体の使い方を見直すことが大切です。
下にある荷物を持ち上げるときには腰から曲げないようにすること。
靴下を履こうとするときには腰を曲げないようにすること。
くしゃみをしそうになったらなるべく上を向くようにすること。
そのように普段の生活の中での体の使い方を見直すだけでもぎっくり腰や圧迫骨折を予防することに繋がります。
意識してみましょう。