摂食障害を防ぐためには?

摂食障害の予防
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金沢大学のグループが、1歳と3歳の幼児検診の結果が残っている20才の男女2300人について調査しました。その結果、3歳児の肥満度が成人してからの肥満に最も関連するという結論になりました。これまでは、1歳児の肥満の影響が最も大きいと考えられてきましたが、3歳児の食教育も重要であることがわかったのです。  

摂食障害をもつ人の多くは子供のときから家族や周りの人から太りすぎを指摘されて育ってきました。しかしながら、1歳と3歳のときに、きちんとした食事が与えられていればそうならなかったかも知れません。長じて、思春期または適齢期になると、食べる量を減らして痩せようとします。普通は、ごはんを減らして野菜や海藻で満腹感を得ようとします。  

大脳がエネルギー不足のため空腹の信号を出し続けますが、それを我慢すれば身体はどんどん痩せていき、家族を見返すことが出来るので空腹が次第に快感になります。しかし、目標の体重に近づいた時に困ったことが起こります。いつまでも減量を続けるわけにはいきませんし、食べれば元の体重まで太ってしまうのがわかっています。我慢ももう限界に近づいていて、いつ暴発するかわかりません。その後、過食に発展するか拒食になるかは、そのときに読んだ本とか友達から教えてもらったちょっとした言葉に左右されます。 このとき、摂食障害にならないようにするには、次のようにしなければなりません。


蛋白質: 蛋白質の必要量は体重1Kgあたり最低1gです。ですから、体重が60Kgの人は1日に60g以上を摂ってください。蛋白質が少ないと筋肉の維持が難しくなり、身体が活発でなくなるのでダイエット中でも1日に60g以上は必ず摂ってください。

脂質: 厚労省の栄養基準では総カロリーの25%の脂質を摂ることになっています。しかし、ダイエット中の方のように1日の総カロリーが極端に少なくする場合は、このような決め方では不足してしまいます。脂質は細胞膜やホルモンの生成になくてはならないものなので、これが不足すると体調不良が起きたり元気がなくなったりします。ですから、脂質の必要量は標準体重における基礎代謝量の25%と考える方が実際的です。標準体重は身長によって決まるので、身長155cmの人で脂質の1日量は36g、160cmの人で37gになります。脂質は毎日少なくとも30g以上は摂ってください。ハンバーグの油をキッチンペーパーで執拗に取り除く人がいますが、そこまでする必要はありません。 

糖質: 糖質を減らせばその分、体脂肪が消費されます。体脂肪を減らすには、糖質を減らせば良いのですが、1日に134gの糖質を大脳が消費する点に注意する必要があります。1日に最低限これだけは摂るようにしないと大脳のエネルギーが足りなくなるので、強い飢餓感が起こります。空腹感は良いのですが、飢餓感は起こさないようにしてください。134gはごはん3杯分です。

以上の3つの栄養を合計すると、60Kgの女性で 970Kcal になります。摂食障害になった人はどの位を食べたでしょうか?このカロリーよりもだいぶ少なかったと思います。摂食障害から回復するときも、このカロリー以上を摂ってください。大脳のエネルギーが規則正しく間違いなく供給されることがわかるとカラダはパニックを起こさなくなります。エネルギーの供給システムを規則正しい安定的なものにすると、カラダは予備に食べておく必要がなくなるので食欲がおとなしくなります。 このように説明しても、なかなか信じられない人がいます。指導者はダイエットは我慢してはいけないと皆さんが発言しますが、当の本人は自分の経験から我慢しないで痩せられるわけがないと思っています。 別の人は食事の前に空腹を感じるのがちょうど良いダイエットの証拠だといいますが、自分の経験から空腹を感じるダイエットは結局は自分には続けられないと思い込んでいるので、これも信じられません。ところが、一方で、とにかく言われたとおりに実践してみて、眼からうろこが落ちた、食べたのに体重がするする落ちた、ダイエットがこんなに楽しいとは思わなかったなどと言う人がいます。何処が違うのでしょうか? たいがいの人は血糖値が高いレベルに慣れていて肝臓のタンクが溢れやすい状態のまま使っています。これを正しいレベルに戻すのがダイエットです。このときは、血糖が下がるまで我慢して矯正します。矯正が終わると、その空腹が当たり前にになって我慢ではなくなります。 一方、先に計算した970Kcal以下に食事を制限するときの空腹は我慢してはいけない空腹です。この空腹感は飢餓感になり暴食のエネルギーを蓄積します。もう1つ我慢してはいけない空腹に運動があります。運動で消費された筋グリコーゲンはカラダが回復を要求するものなので、これも我慢すると飢餓感になり必ず暴食衝動となって跳ね返ってきます。 一言で空腹感といってもこのように違いがあります。この違いを一言で言うと、先の970Kcalの計算になります。このことを考慮にいれて、もう一度これまでの空腹感について考えてみてください。空腹にもいろいろな空腹があるので、一から経験しなおしてみるのも良いかもしれません。


食事の摂り方

食事の間隔は4~6時間 

食事の間隔があく→空腹でいる時間が長い→血糖が低下している状態→食事をする→急激に血糖が上昇する→血糖を下げ脂肪を合成するホルモン(インスリン)の分泌が促進される→体脂肪が合成されて太りやすくなる 


トータルの食事量が少なくても、体のメカニズムが効率良く体脂肪を蓄えようとするので太りやすくなってしまう。   


 糖質:たんぱく質:脂質のエネルギー比が3:1:1になるように    

朝食 朝食を抜いて昼食まで食べないと、前夜から12時間以上あくことになる。長時間の空腹は次の食事で血糖を上げやすく、これは体脂肪の合成を促すことになる。 脳のエネルギー源は糖質。朝食べたものは1日の活動で消費されるので、しっかり食べる事が大切。

昼食・夕食で採りにくい卵、豆製品を朝食の主菜にすると良いでしょう。    


夕食 夜は栄養の吸収・蓄積を促す副交感神経が活発になるため、夜に食べたものは昼間に食べたものより体内に脂肪として蓄えられやすい。1日3食の1/3量またはそれより少し少ないくらいのエネルギー量に。 


夕食には1日のバランスを整える食事という役割もある。朝・昼に不足していたものをとったり、昼食が洋食なら夕食は和食にするなど、調整する事が必要です。   


1日の所要量 

糖質…最低100~150g(400~600kcal)、その8割はごはん、パンなどの主食でとる 


たんぱく質…体重1kgあたり1~1.3gの良質なたんぱく質、体重60kgの人で60gが目安(必須アミノ酸をバランス良く含むもの) 


脂質…30g程度に(植物性が好ましい) 


ビタミン、ミネラル、食物繊維の摂取のため、緑黄色野菜100g、淡色野菜200g (野菜は300gで80kcalとかさのわりに熱量が少なく、満腹感が得やすい)