ダイエットと空腹感

ダイエット中の空腹感
「空腹感」の画像検索結果
私たちの身体はたくさんの細胞が集まってできています。骨も皮も肉も内臓も細胞でできています。すべての細胞は生きていくのにブドウ糖と水分が必要です。私たちは食事から栄養物を取り入れ、いったん肝臓に蓄えてから、血液と体液によってこれらの細胞に栄養を供給しています。空腹感は貯蔵された栄養物が不足してきたことを知らせる信号です。空腹感には次の3つがあります。
➀大脳のエネルギー不足を知らせる空腹感 
②ビタミン不足を知らせる空腹感 
③糖質依存による空腹感


大脳のエネルギー不足を知らせる空腹感 

栄養物には蛋白質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルがありますが、このうち空腹感に影響を与えるのは糖質だけです。その他の栄養物は空腹感に直接の影響を与えません。その理由は大脳のエネルギー源が糖質だからです。私たちの最も大切な臓器である大脳は蛋白質でできていて、他の細胞と同じようにブドウ糖をエネルギーにしています。もしも、大脳のエネルギーが途絶えると私たちはあっという間に死んでしまいますから、二重三重のシステムでエネルギーが途絶えないようになっています。その1つが血糖の監視による空腹感です。

食後30分~1時間ほどすると、食べものの中のブドウ糖が血液中に入ってきてブドウ糖濃度がピークになります。血液中のブドウ糖を使うのは、大脳と肝臓と筋肉です。大脳は1時間あたり6gの割合でブドウ糖を消費します。肝臓は血液中のブドウ糖を取り込んで貯蔵します。筋肉は運動で消費したグリコーゲンに見合う量だけ取り込みます。ブドウ糖濃度が160mg/dlを超えると腎臓から糖が漏れます。腎臓から糖が漏れると糖尿病です。


健康な人ではインスリンが大量に分泌されてブドウ糖をゴリコーゲンと脂肪に変換するので160を超えません。血糖値はその後ゆっくりと下降し、何も食べなければ60mg/dlまで下がります。その後も何も食べなければ肝臓は蛋白質を分解して糖を作りはじめます。ですから血糖は60mg以下には下がりません。

普通は血糖値が90mg/dl位まで下がると猛烈にお腹がすいたと感じます。血糖値の上限が160mg/dlで、下限は60mg/dlですから、肝臓のタンクの残量が1/5まで下がると、カラダが次の栄養物を取り入れるよう催促していることになります。このようにして大脳のエネルギーが途切れないように保たれています。

ところで、私たちの身体には自動車のガソリンメーターのようなエネルギーの量を検知する器官がありません。私たちに備わっているのは、お腹がすいたか、いっぱいになったかのどちらかがわかるだけです。 もしも、お腹をすかさないように食べているとしたら、それは食べすぎです。私たちの身体はお腹がすいたなぁと感じてから次の食事を摂るような仕組みになっているので、お腹がすかないうちに食べているとすれば、それは間違った食べ方です。

肝臓のエネルギータンクを最大限に活かすには、できるだけ空に近い状態まで使い切ることが大切です。たとえば、深呼吸をするにはまず吐き出さなければ深呼吸ができませんが、エネルギータンクも同様でできるだけ使い切るようにすることが必要です。そうしないと、タンクはいつも溢れやすく、すぐにお腹がすくことになります。たいがいの人は食後2~3時間でもう小腹がすいたといって何かをつまんでいますが、そのような食べ方では血糖は殆ど下っていません。たぶん、110mg位でもう我慢できないで次の食事を始めているかも知れません。一度、どこまで空腹に耐えられるか実験してみると良いでしょう。一度、食生活をリセットしてみるのです。肝臓のエネルギータンクの容量は13時間分もあります。これまでの食習慣がいかに高い血糖の方にずれていたかがわかると思います。


ダイエットでは我慢してはいけません。我慢しなければならないようなダイエットは長続きしません。美味しいと思うものを食べ、カラダが喜ぶようなことだけをして下さい。ただし、食前の空腹を待ってから食べることだけは別で、カラダに安定的なエネルギー供給のために必要なことです。このための我慢は慣れるための一時的な我慢なので、慣れればすぐ我慢でなくなります。



ビタミン不足を知らせる空腹感
食べても食べても空腹感が治まらないことがあります。よく栄養学の本などにカルシウム不足の子供が壁土を食べる話などが引用されます。栄養チャートではっきりと欠陥が出るような食事は、食後の満足感が得られないので、物足りなさを感じます。物足りなさは何処からくるのでしょうか?ストレスでしょうか?精神的なものでしょうか? 糖質の不足は、血糖の低下を招くのでこれははっきりと空腹感として知覚できます。栄養チャートで80%以上の糖質を絶対に摂るようにしてください。蛋白質は身体が温まり満足感があります。脂質の多い食べ物は美味しいのでよくわかります。したがって、蛋白質や脂質が少ない食事は物足りなさを感じます。ビタミンやミネラルについても味覚が記憶に結びついているのかもしれませんし、ひょっとすると不足栄養を要求するまだ知られていない何らかの仕組みがあるのかもしれません。 いずれにしろ、栄養に欠陥があると物足りなさを感じ、極端な場合には空腹感が治まらなくなります。大雑把にいうと、基礎代謝の80%を切る食事を続けるとカラダが飢餓と判断し空腹感が治まらなくなります。摂食障害の人は吐かないようにしてください。吐くと栄養が足りなくなり、ますます過食衝動が強くなり悪循環に陥ります。カラダは最低限の栄養が保証されることがわかると飢餓と判断しなくなります。そのためには、基礎代謝の少なくとも80%以上は食べてください。 

糖質依存による空腹感

私たちの身体は次第に糖質に依存していく仕組みになっています。その仕組みはつぎのようです。  

➀生存の本能 

②幼い頃の幸福感との結びつき

③センサーの仕組み 

④セロトニン依存


➀生存の本能 

動物は美味しいものを食べ、心地よいと感じることをすることによって命を長らえます。美味しいものを食べ、美味しくないものは危険なものとして食べません。生命活動の維持のために運動をします。ハムスターはねずみ車を回し、犬は散歩に出たがります。私たちの味覚は食べものの中の栄養物を探り当てます。散歩やジョギング、スポーツにはドーパミンという喜びのホルモンが与えられていて、それによって運動をしたい欲求がおこり健康でいられます。

②幼い頃の幸福感との結びつき

甘いケーキは幼い頃の記憶の中で幸福感と結びついています。

③センサーの仕組み 

 人体のセンサーはたいがい相対値で働きます。たとえば、昨日、ケーキバイキングを食べて高い血糖値を経験すると、次の日も同じ血糖値まで上がら

ないとセンサーが満足の信号を出しません。ですから、食べ過ぎた日の翌日は血糖が上がらないようことさら注意することが必要です。このことを知ら

ない人は次第次第に食欲のレベルが上がっていくことになります。 

 

④セロトニン依存

 糖質を食べると脳内にセロトニンという物質が流れ出ます。セロトニンは神経伝達の促進物質で、脳をスッキリさせ、沈静化し、幸福感をもたらせます。運動をすると、脳内のセロトニンが増加し、脳がこれを検知すると疲れたと判断して身体が動かなくなります。VAAMはこのセロトニンを増加させないアミノ酸を配合したものです。運動後によく眠れるのはこのセロトニンが増えるせいです。不眠治療、精神病の治療薬にセロトニンに働きかけるものがあります。セロトニンは脳に心地よいので、人はセロトニンを求めるようになります。セロトニンの習慣性はアルコールの習慣性とによく似ています。アルコール依存者はアルコールがアルコールを呼ぶ状態になりますが、セロトニンもセロトニンがセロトニンを呼ぶ状態になります。摂食障害はAddictionと呼ばれますが、中毒の意味です。


食前の空腹感
以上のように、私たちのカラダは次第に高い血糖を求めるような仕組みなっています。そのような仕組みであっても、食料が満足に得られなかった時代では問題は起こりませんでしたが、食料が豊富になってきた現代ではうまくいかなくなりました。そのようなわけで、今、世界の国々で肥満が増加しています。 現代では、食前に空腹を確認することが、身体の中のエネルギー供給システムを安定的かつ最大限に利用できる唯一の方法です。これがダイエットの第一歩です。食欲の安定のために、食事は多すぎず少なすぎず規則正しく摂ってください。1日の糖質はどんなことがあっても134g以上を摂ってください。栄養に欠陥がないようにしてください。そうすれば必ずうまくいくはずです。

970Kcal以上の摂取カロリーを守って減量できるペースはだいたい月に3~4Kgです。大脳のエネルギー消費は太っている人も痩せている人も同じと考えられるので、太った人ほどペースが速く、痩せた人ほどペースが遅くなります。ただし、この数字はここまで痩せられるという数字ではなく、暴食が起こる限界を示したものです。 ダイエットの目安の下限は、その人の標準体重で計算した基礎代謝もしくは970Kcalのどちらか大きい方です。肥満している人は現在の基礎代謝よりも1割程度低いところを狙えます。標準体重の人は基礎代謝、痩せている人は基礎代謝の5%増し位がダイエットの下限になります。 たいがいの人がそんな遅いペースでは物足りないと感じるかも知れませんが、そのような焦りが結局は摂食障害を招いてきたのだといえます。ダイエットはやはり子供のころからの正しい食習慣が大切です。